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労働法

職務内容同一短時間労働者など、パートタイム労働法を労務に関する部分を中心に解説

昨日、一昨日とパートタイマー等の非正規に関する労務管理について書いてきましたが、とりあえず今日・明日までこのモードで行こうかと思います。

で、今日・明日と解説するのは主に法令上のこと。今日はパートタイム労働法について解説していきたいと思います。

 

正式名称は「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」

パートタイム労働法は正式には「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」と言います。

この法律では「短時間労働者」については以下の通り、定義づけがなされていますが、

(定義)
第二条  この法律において「短時間労働者」とは、一週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者(当該事業所に雇用される通常の労働者と同種の業務に従事する当該事業所に雇用される労働者にあっては、厚生労働省令で定める場合を除き、当該労働者と同種の業務に従事する当該通常の労働者)の一週間の所定労働時間に比し短い労働者をいう。

これは、世間一般的にイメージされる「パート・アルバイト」を定義づけているものではありません。

単に「パート・アルバイト」は通常の労働者よりも労働時間が短いから当てはまることが多く、同法の適用を受ける、というだけです。

なので、通常の労働者と労働時間が変わらないアルバイトというのは存在しうるし、その場合、同法の適用はないと考えられます。

ただ、そうした方法で適用を避ける意味があるかというと、そういうわけでもないのですが。

 

パートタイム労働法の原則

で、このパートタイム労働法がどのような法律かというと、簡単に言うと「労働時間が短いという理由だけで、通常の労働者と比べて差別的取り扱いをしてはいけないよ」ということが延々書いてあります。

先ほど、小手先のことで同法の適用を避ける意味があまりないと書いたのは、差別的な取り扱いをしてはいけないのは、短時間労働者に限らないし当然のことだから、という点が大きいです。

パートタイム労働法の8条には短時間労働者の待遇の原則が高々と掲げられています。

(短時間労働者の待遇の原則)
第八条  事業主が、その雇用する短時間労働者の待遇を、当該事業所に雇用される通常の労働者の待遇と相違するものとする場合においては、当該待遇の相違は、当該短時間労働者及び通常の労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。

ただ、漠然と「差別的な取り扱いはダメ」といわれても、何をしたら良くて何がダメなのとかがわかりづらいので、他の条文ではそのあたりについて説明があります。

以下では、実務に関係のある部分を中心に解説していきます。

 

短時間労働者の種類

パートタイム労働法では短時間労働者を3つに分類しています。

まず、大きなくくりで分けると、「短時間労働者」と「職務内容同短時間一労働者」の2つがあります。

両者は通常の労働者に比して労働時間が短い労働者であることは共通ですが、通常の労働者と同じ職務に就いているか、異なる職務に就いているかで異なります。

当然、同じ職務に就いている方が「職務内容同一短時間労働者」となるわけですが、この「職務内容同一短時間労働者」はさらに2つに分類することができます。

分類の基準となるのは「人材活用の仕組み」が通常の労働者と同じかどうか(※)。

職務内容同一短時間労働者で、「人材活用」の面でも通常の労働者と変わらない場合、「通常の労働者と同視すべき短時間労働者」となり、そうでない場合は「職務内容同一短時間労働者」となります。

※ 2014年の改正で契約期間による分類は実質なくなったので注意。

 

 

短時間労働者の種類によって異なる点

「短時間労働者」「職務内容同一短時間労働者」「通常の労働者と同視すべき短時間労働者」の違いは、「賃金」「教育訓練」「福利厚生」に関する取り扱いです。

まず、「短時間労働者」に関しては「賃金」「教育訓練」についてはどちらも、他と均衡の取れた決定をするよう努めなさい、という努力義務にとどまり、「福利厚生」については利用の機会を与えるように配慮しなければならない、という配慮義務になっています。

次に「職務内容同一短時間労働者」に関しては「賃金」「福利厚生」については「短時間労働者」と同じですが、「教育訓練」については実施は義務とされています。同じ職務に就いているのに、その職務に必要な「教育訓練」を短時間労働者だからという理由で受けさせない、というのはダメ、ということです。

最後に「通常の労働者と同視すべき短時間労働者」については、「賃金」「教育訓練」「福利厚生」のいずれも差別的な取り扱いは禁止とされています。

このように、短時間労働者によって、規制内容が異なるため、昨日記事にした、パート等の定義を考える上ではどのような職務に就かせ、どのように人材活用を行っていくかをきちんと考えておく必要があります。

賃金 教育訓練 福利厚生
短時間労働者 通常の労働者との均衡を考慮(努力義務) 通常の労働者との均衡を考慮(努力義務) 利用の機会を与えるように配慮(配慮義務)
職務内容同一短時間労働者 通常の労働者との均衡を考慮(努力義務) 同一の職務につく通常労働者と同等の者を実施(実施義務) 利用の機会を与えるように配慮(配慮義務)
通常の労働者と同視すべき労働者 差別的な取り扱いは禁止 差別的な取り扱いは禁止 差別的な取り扱いは禁止

 

通常労働者への転換推進

会社は短時間労働者を通常の労働者への転換を推進するため、以下のいずれかの措置を講じなければなりません。

  1. 通常の労働者の募集を行う場合において、当該募集に係る事業所に掲示すること等により、その者が従事すべき業務の内容、賃金、労働時間その他の当該募集に係る事項を当該事業所において雇用する短時間労働者に周知すること。
  2. 通常の労働者の配置を新たに行う場合において、当該配置の希望を申し出る機会を当該配置に係る事業所において雇用する短時間労働者に対して与えること。
  3. 一定の資格を有する短時間労働者を対象とした通常の労働者への転換のための試験制度を設けることその他の通常の労働者への転換を推進するための措置を講ずること。

パートタイム労働法第13条より

要するに、短時間労働者に対して、通常労働者への転換のためのチャンスやインフォーメーションをきちんと与えなさいということです。

 

労働条件に関する文書の交付

労働基準法では、労働条件通知書に記載する義務のある項目を定めています(詳しくはこちら)。

短時間労働者については、さらに加えて、

  • 昇給の有無
  • 賞与の有無
  • 退職金の有無
  • 相談窓口

について、通知することを義務づけています。

明示事項に相談窓口があるということは、つまり、短時間労働者向けの相談窓口の設置は会社の義務となります。

 

雇い入れ時の説明義務

会社には、短時間労働者を雇い入れる際に「賃金」「教育訓練」「福利厚生」「正社員転換措置」について説明義務があります。

また、短時間労働者が説明を求めたことに対して、不利益な取り扱いをすることも禁じています。

これらは2014年の改正より新しく導入されたものです。

 

以上です。

いろいろ書きましたが、特に重要なのは以下の2点ですかね。

  • パートやアルバイトの定義は会社それぞれだが、パートタイム労働法上のどの短時間労働者に当たるかで規制内容が変わる
  • 雇い入れ時には会社に様々な説明義務がある

明日は労働時間同様に非正規の条件となることの多い「契約期間」に関する法律の解説をしていきます。

 

今日のあとがき

この記事書きながら、社労士試験の勉強してるときに「職務内容同一短時間労働者」と「通常の労働者と同視すべき短時間労働者」て何が違うんだよ、と思ったのを思い出しました。

おまけにきちんと理解したところで、ほぼほぼ試験には出ないところだし・・・。うーん。

 

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名古屋の社労士事務所、川嶋事務所の代表で、このブログの筆者。 新しいこと、もの、特にIT関連が大好きで、社労士としては会社・労働者のITトラブル対策・就業規則作成が得意分野。 2016年4月から9月まで中日新聞で「働く人を守る労働保険」を連載、開業社労士専門誌「SR」に寄稿するなど、メディアでの執筆活動も。