労務管理

労務管理に必要となる誕生日に関する法律をチェック 後編:労働法その他

昨日の続きです。

労務管理に必要となる誕生日に関する法律をチェック 前編:公的保険

Facebookって、誕生日になると自分の友達に知らせる機能があって、友達の多い人は誕生日におめでとうコメントの嵐になってたりします。

わたしの場合、Facebookで誕生日を誰にも教えない設定にしているので、誰からも祝われることなく、ただただ人の誕生日を祝福するbotになってたりします。

なぜ、Facebookの設定で誕生日を隠してるかというと、理由はサバ読んでるから、ではなく、単に誕生日も立派な個人情報だから。

さすがにパスワードとかPINには使わないにしても、見ず知らずの人に知られないに越したことはない。

なので、誰からでも見られる場所(きちんと設定してないと友達の友達とかでもFacebookで見られる)に丸裸では置いとけないわけです(この辺については、昔記事を書きました)。

ましてや、メルアドとかアカウントのIDに使うとか、わたしネットリテラシーありませんと言ってるようなもの。

自分の知り合いとかがやられてるとげんなりするけど、未だにアカウント乗っ取られる人とかいるし・・・。

 

誕生日は個人情報だが

ただ、こうい個人情報みたいなことを言い出すと厄介なのは、誕生日は個人情報なので会社に教えたくありません、という労働者がでてくる可能性があること。

可能性、と書いたのは、わたし自身はそういう相談をこれまでされたことがないので、あくまで可能性(マイナンバーはあるけど、マイナンバーよりはよっぽど危うい個人情報だと個人的には思う)。

まあ、履歴書には誕生日を書かせる欄が必ずあるし、履歴書を出させずに労働者を採用することもないと思うので当然と言えば当然かもしれません。

で、仮にの仮にでそういう人が出てきたとき、どう対応したらいいかと言えば、出さないなら採用しなければいいだけ。

昨日の記事で上げた雇用保険や社会保険などの公的保険加入時には必ず誕生日を記載する必要があります。

なので、労働者の方が誕生日を教えてくれないと公的保険への加入手続きはできない。

これまた仮に労働者が公的保険への加入を希望していなくても、保険に加入させないといけない労働者を加入させないと違反になるのは会社側。

よって、違反を避けるためにも、誕生日を教えてくれない労働者は雇うべきではないわけです。

ていうか、誕生日教えないって会社を信用してないわけです、会社を信用できない人を会社が雇う理由もないし。

 

定年退職と誕生日

入社のあとは退社の話。

みなさんの会社の就業規則にはおそらく定年退職の規定があるかと思います。

この、規定、多くは定年退職するのは「満○○歳に達したとき」となっているかと思います。

「満○○歳に達したとき」というと法律上はどうなるかというと、昨日のおさらいですが、以下のようになります。

  • 加齢する時刻は誕生日前日午後12時
  • 日を単位とする場合は誕生日前日の初めから加算

つまり、「満○○歳に達したとき」と規定していると、定年退職するのは誕生日の前日となるわけです。

ただ、現実にはそうした規定があっても誕生日の当日に定年退職の退職日としている場合は多いことでしょう。

また、それ自体が就業規則違反となるかも怪しいところ。

 

定年退職と誕生日で気をつけるべき点

年齢計算の方法が上記のようになっているのは年齢計算ニ関スル法律と民法の2つの法律の解釈からです。

どちらも私法といって、国が国民を取り締まる法律ではなく、国民同士で争いがあったときにその争いを解決するためにある法律だからです。

なので、「満○○歳に達したとき」と規定していたとして、定年退職日が誕生日当日だったとしても、使用者と労働者のあいだで合意があったり、争いがないのであればそれはそれで問題ないわけです。特に過去の慣例的に誕生日当日退職、となっている場合は慣例が優先される可能性も高いので。

ただ、さすがに法律上よりも早く年齢を増やして定年退職させる、というのはマズいのでその点は注意が必要です。

60歳定年の場合ならまだしも、特に改正高年齢者雇用安定法により、労働者が希望する場合は65歳までの継続雇用が義務づけられているので(経過措置を利用していない事業所の場合)、こちらを法律以上に短くするのは問題でしょう。

また、定年退職日が誕生日当日だったり前日だったり統一性がない場合も、公平性の観点から問題があると考えられます。

 

誕生日は祝った方がいい?

最後は法律的な労務管理というよりは、心情的な話ですが、労働者の誕生日って会社が祝うものなのかどうか、という話。

もちろん、祝わないといけない、という法律はないですし、祝わないことをとやかく言う気もないですが、祝って損はないと思いますね。

若い頃はともかく、歳を重ねると単純に誕生日を祝われること自体なくなってきます。

子どもがいたりすると、子どものことは一所懸命するけれど、自分のことはしてもらえなかったり、手が回らなかったりという話も聞きます。

なので、そういった心遣い一つ一つが人手不足の時代の定着率アップに繋がると思うんですが、どうでしょうか(誕生日を祝う会社とそうでない会社の離職率の違いとか知りたいところです)。

うちの場合、パートナーである(株)給与計算本部事務所の社長が非常にそういう気遣いができる人なので、わたし自身は正直彼女に甘えてしまっているので、偉そうなこと言えませんが(汗)。

今日のあとがき

自分の誕生日の話をさせてもらうと、わたしの誕生日ってGW明けにあるわけですよ。

よって、誕生日プレゼントを買ってもらえるのも必然GW後。

なので、小さいときはGWが早く終わってほしいような、早く終わってほしくないような微妙な気持ちでいっぱいでしたね。

それもあって、今年は自分の欲しいものは全部GW前に買いました(笑)

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  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士川嶋事務所の代表。「いい会社」を作るためのコンサルティングファーム「TNC」のメンバー。行動経済学会(幽霊)会員 社労士だった叔父の病気を機に猛勉強して社労士に。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 著書に「「働き方改革法」の実務」「定年後再雇用者の同一労働同一賃金と70歳雇用等への対応実務」「就業規則作成・書換のテクニック」(いずれも日本法令)のほか、「ビジネスガイド」「企業実務」などメディアでの執筆実績多数。

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