大学入学共通テストが終わり、これから本格的に受験のシーズンですが、それが終わると今度は卒業式のシーズンとなります。
ただ、よく卒業式の日なんかに担任の先生が言うように、大抵は卒業式後もその年度が終わるまではその学校の生徒、ということになっています(大学なんかは卒業日が年度の末日になってないこともあるようですけどね。)
要するに、多くの場合、卒業式の日と卒業日が一致していないわけですが、新卒で学生を採用した会社の場合、会社によっては内定を出している新卒の学生に少しでも早く会社に慣れてもらいたい、ということで、卒業式直後から研修等を行いたいと思っていることがあります。
このように卒業式の日から卒業日までのあいだの期間、会社は新卒採用した学生たちを働かせてることには問題ないのでしょうか。
中学生は15歳の年度末までは原則就業禁止
まず、中学生についてですが、労働基準法では15歳になる年度の末までは児童の就業は原則禁止とされています。
そのため、卒業式から卒業日(3月31日)までのあいだ、会社が研修や実習等のために学生を働かせる、ということはできません。
逆に言うと「働かせ」なければいいので、就業開始前に内定式やオリエンテーションを行うことは可能です。
ただし、いくら内定式やオリエンテーションと言い張っても、実態として労働にあたる場合はアウトです。
大学生は法律上は特に問題なし。ただし、賃金が発生するかどうかは考慮する必要あり
次に、高校生は飛ばして大学生ですが、こちらに関しては「大学生だから」ということで問題になるようなことはありません。みなさん成人ですしね。
「大学在学中は就労できない」なんて校則のある大学なら話は変わってくるかもしれませんが、そんな大学、聞いたことありませんし、あっても、「職業選択の自由」を不当に奪っていると考えられるので無効でしょう。
なので、気をつけるべきは、内定式やオリエンテーションを行うにしても、それが「労働」なのかそうでないのか、という点です。
なぜなら、それが労働に当たるなら、その時間は当然賃金が発生するからです。
高校生は法律上の制限よりもローカルルールに注意
さて、最後は先ほど飛ばした高校生の卒業式から卒業日までの労働についてです。
この時期の高校生は、労働基準法のくくりでは年少者にあたる場合があります。
年少者とは満18歳未満の者のことをいい、労働時間や休日、深夜業等に制限があったり、事業場にその年少者の年令を証明する戸籍証明書を備え付けないといけないなど、労働に関して若干の制限があります。
とはいえ、高校の卒業式以降も年少者に当たる場合はごく少数な上、高校を卒業したばかりの労働者にいきなり長時間労働や深夜労働をさせる会社もなかなかないとは思います。
なので、法律上の制限はほぼないと考えていいでしょう。
それよりも気をつけないといけないのは、各都道府県の労働局や教育委員会等が協議してで定めているローカルルールです。
法律以上にローカルルールにも注意
実は、高校の新卒求人に関しては、各都道府県ごとに扱いが異なります。
これは各都道府県の労働局や教育委員会、中学校及び高等学校、事業主団体、ハローワークといった機関の代表者で組織される協議会によって、高校生の新卒求人に関するルールが決められているから。
愛知の場合は「愛知県就職問題連絡協議会」というところが決めていて、求人票の受付開始日や学生の選考開始日などが決められます。
で、ほとんどの内容は各都道府県ごとにそれほど大きく異なるわけではないのですが、高校生の卒業式から卒業日までの取扱に関しては、愛知では
新規高等学校卒業者に係る採用決定者(内定者を含む。)の就業開始(実習、研修等を含む。)の期日は、卒業後とする。
となっているのに対し、例えば石川では、
平成29年4月1日以降が望ましいが、実習や研修等の目的の就業としては卒業式後とする。
となっているように、各都道府県によってバラツキがあるので注意が必要です。
よって、愛知県では、卒業式の翌日にいきなり働かせる、というのは研修や実習目的であってもNG。しかし、そうではない地域もあるので、自分の地域がどのような扱いになっているかわからないという場合はハローワーク等に問い合わせた方が良いでしょう。
ローカルルールを知らずに破って、次の年から求人募集を出してもらえない、となっては大変ですからね。
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