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働き方改革 労働安全衛生法 法改正

働き方改革法案の労働安全衛生法の改正事項を解説(施行は平成31年(2019年)予定)

2018/05/14

昨日に引き続き、働き方改革法案の解説。今日は労働安全衛生法について。

働き方改革における労働安全衛生法の改正箇所は大きく分けて2つ。

「産業医」と「面接指導」です。

改正労働安全衛生法の施行はいずれも平成31年4月1日予定です。

 

産業医・産業保健機能の強化

今回の労働安全衛生法では産業医の機能強化のため、以下のような改正が行われます。

 

1.事業者による産業医に対する情報提供

産業医を選任した事業者には以下の情報を産業医に提供する義務を負います。

  • 健康診断実施後の措置等
  • 一定の労働時間数を超える労働者の氏名、業務内容その他の産業医が労働者の健康管理等を適切に行うために必要な情報として厚生労働省令で定めるもの

上記の情報提供義務に関しては、産業医を選任する義務のない事業者で産業医を選任している場合は努力義務となります。

 

2.産業医による勧告と事業者の対応

産業医には労働者の健康を確保する必要があると認められるときは、事業者に対して必要な勧告を行う権限が与えられています。

しかし、法改正以前は、事業者はこの勧告を「尊重しなければならない」に過ぎませんでした。

一方、法改正後は、この勧告を受けた事業者は「尊重する」のは当然のこと、勧告の内容その他厚生労働省令で定める事項を衛生委員会又は安全衛生委員会に報告する義務が新しく設けられました。

 

3.産業医の業務内容を労働者へ周知

産業医を選任した事業者は、産業医の業務の内容、その他の産業医の業務に関する事項で厚生労働省令で定める事項について、労働者に周知する義務が新しく設けられます。

周知の方法は、就業規則等と同じです。

こちらについても、産業医を選任する義務のない事業者で産業医を選任している場合は努力義務となります。

 

医師の面接指導

医師の面接指導についての改正は以下の通りです。

 

1.長時間労働の医師の面接指導

「新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務につく労働者」および「特定高度専門業務・成果型労働制の対象労働者」は長時間労働による医師の面接指導の対象外となることが法律で規定されます。

また、こちらは省令で定められる予定ですが、長時間労働の医師の面接指導の条件が「時間外・休日労働時間100時間超え」から「時間外・休日労働時間80時間以上」に変更される予定です。

 

2.「新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務につく労働者」の医師の面接指導の義務化

「新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務につく労働者」で、省令で定める時間を超えて労働する労働者に対して事業者は、医師の面接指導を行うことが義務づけられます。

1.の長時間労働の医師の面接指導が労働者による申出があって初めて行われるものなのに対し、こちらは条件を満たす限り、事業者には行う義務が発生し、もし行わなかった場合は罰則の対象となります。

省令で定める時間については「時間外・休日労働時間が100時間超え」が条件とされる予定です。

ちなみに「新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務につく労働者」は時間外労働の上限規制の適用対象外であることを踏まえた健康確保措置となります。

 

3.「特定高度専門業務・成果型労働制の対象労働者」の医師の面接指導義務化

「特定高度専門業務・成果型労働制の対象労働者」で、省令で定める時間を超えて労働する労働者に対して事業者は、医師の面接指導を行うことが義務づけられます。

こちらも2.同様に、申出の有無にかかわらず条件を満たす限り行うことは事業者の義務であり、行わなかった場合は罰則の対象となります。

2.と違うのは基準となるのが「労働時間」ではなく「健康管理時間」である点です。

省令で定める時間については「健康管理時間について、1週間当たり40時間を超えた場合のその超えた時間が一月当たり100時間を超え」が条件とされる予定です。

 

4.事業者による労働時間把握の義務化

医師の面接指導の実施に当たり、事業者には労働者の労働時間の状況の把握が義務づけられます。

把握の方法は厚生労働省令で定められる予定の他、「特定高度専門業務・成果型労働制の対象労働者」は把握の対象から除外されます。

 

労働者の心身の情報に関する取り扱い

産業医と面接指導以外の改正点がこちらの「労働者の心身の情報に関する取り扱い」となります。

労働安全衛生法の基づく措置の実施に関し、事業者は労働者の心身の状態に関する情報を収集・保管することになります。

今回の改正ではこの収集等に関し制限が設けられ、「労働者の健康の確保に必要な範囲内で労働者の心身の状態に関する情報を収集し、並びに当該収集の目的の範囲内でこれを保管し、及び使用しなければならない」とされました。

ただし、本人の同意がある場合、その他正当な事由がある場合はこの限りではありません。

また、事業者は労働者の心身の情報に関する情報を適正に管理するための措置を講ずる必要があります。

 

以上です。

特に「新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務につく労働者」および「特定高度専門業務・成果型労働制の対象労働者」に対する医師の面接指導に関しては罰則があるので、該当する労働者のいる事業場では気を付けたいところです。

 

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名古屋の社労士事務所、川嶋事務所の代表で、このブログの筆者。 新しいこと、もの、特にIT関連が大好きで、社労士としては会社・労働者のITトラブル対策・就業規則作成が得意分野。 2016年4月から9月まで中日新聞で「働く人を守る労働保険」を連載、開業社労士専門誌「SR」に寄稿するなど、メディアでの執筆活動も。