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中日新聞 雇用保険

テーマは高年齢雇用継続基本給付金、「75%未満なら給付金(働く人を守る労働保険第14回:中日新聞連載)」

 

いまや六十歳を過ぎても働くことが普通になりました。多くの企業で、六十歳で一旦定年退職となり、再雇用で六十五歳まで働くようになっています。六十歳で賃金の見直しなどをするためです。

しかし、見なおして賃金が下がると、働く意欲をそがれかねません。そんな理由で離職を避けるための制度が、雇用保険の高年齢雇用継続基本給付金です。

この支給期間は六十歳から六十五歳の誕生月。受給条件は二つです。まずは六十歳の誕生日より前に、雇用保険の加入期間が五年以上あること。五年なくても六十五歳までに五年に達すれば、それ以降が支給対象期間となります。

次は、賃金が六十歳になる前よりも六十歳以降が低いこと。六十歳より前の賃金とは、六十歳になる直前六カ月の月給の平均が基準です。これと比較して、六十歳以降の賃金が75%未満なら対象となります。

もらえる額は、六十歳以降の月収が六十歳以前の基準賃金の61%未満だと、六十歳以降の月収の15%。61%以上75%未満の場合は15%から徐々に減り、75%に近づくとわずかになります。

そもそも企業が六十歳で賃金を見直すのは、賃金が多いと老齢厚生年金が減額されたり、支給停止されたりするのを調整するためでした。しかし、老齢厚生年金支給開始は徐々に引き上げられr、原則六十歳からはもらえません。

さらに、この給付金がもらえるのを理由に、労働時間や仕事内容は以前と変わらないのに六十歳で賃金を下げる企業もあります。

年金や高齢者をめぐる労働環境は大きく変わっています。この給付金の意義を考え直す時期にきているのかもしれません

中日新聞H28.7.7付「働く人を守る労働保険」より転載

 

我々の業界で最近大きな波紋を呼んだのがこちらの事件です。

 同じ業務で定年後再雇用、賃金差別は違法 東京地裁判決

働き方が全く同じなのに、定年再雇用で賃金を下げる、というのは違法だというのが判決の要旨です。

別に、この件の会社を擁護する気はありませんが、昔はこれでも良かったんですよ。というのも昔は60歳から年金が出てたから。

そして、高齢者の方は賃金を下げられるよりも、今まで頑張って保険料を支払ってきた年金を減らされる方をより嫌がる事が多かったし、収入を減らすことで高年齢雇用継続基本給付金も出る。

つまり、以前は60歳以降の賃金は「賃金+年金+高年齢」の3本柱だったわけです。

 

しかし、今では男性の場合、今年60歳(昭和31年生まれ)になる人だと62歳からしか年金が出ません。

3本柱のうちの1本がない状態で、60歳で賃金を下げられると、62歳までの2年間、収入が極端に減ることになります。

高年齢雇用継続基本給付金が出るとはいえ、その額はわずか。そりゃ不満だって出るって話なのですが、この給付金があると「給付金が出るんだから下げてもいいでしょ」という話になってしまいます。

今回の連載で高年齢雇用継続基本給付金を見直す時期に来ている、と述べたのはそういう理由です。

労働者が希望すれば、事実上、65歳まで働ける時代に「60歳で賃金を下げる理由」となる給付金を残しておく理由はないのではないでしょうか。

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名古屋の社労士事務所、川嶋事務所の代表で、このブログの筆者。 新しいこと、もの、特にIT関連が大好きで、社労士としては会社・労働者のITトラブル対策・就業規則作成が得意分野。 2016年4月から9月まで中日新聞で「働く人を守る労働保険」を連載、開業社労士専門誌「SR」に寄稿するなど、メディアでの執筆活動も。