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メルカリの手厚すぎる産前産後休業・育児休業等と国の保障を比較する

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フリマアプリのメルカリが、自社の社員への育休・産休について非常に手厚い保護を行うと発表し、話題となっております。

メルカリ、新人事制度「merci box(メルシーボックス)」導入のお知らせ -産休・育休あわせて約8ヶ月分の給与を100%保障-

プレスリリースによると以下の通り、女性は産前の10週間+産後の6ヶ月間の給与を100%保障、男性についても産後の8週間の休業については給与の100%保障するそうです。

○産休・育休支援の拡充
産休・育休期間中の給与を会社が100%保障する制度です。安心して出産や育児に専念できる環境を整えています。
女性:産前10週+産後約6ヶ月間の給与を100%保障
男性:産後8週の給与を100%保障

○育児・介護休暇の有償化
子どもの看護および家族の介護で休暇を取得する場合は、5日間を特別有給休暇とし最大で10日間まで休暇取得が可能です。(1年あたり)

これらの保障がいかに大きいか、現在の国の出産・育児についての社会保障制度と比較してみましょう。

 

産前産後休業と出産手当金

まず、労働基準法では産前6週間、産後8週間の妊産婦について就業を禁止しています(産後6週間経過後は医師が支障がないと認めた業務については業務に就くことは可能)。

また、産前産後の休業期間中については、健康保険から出産手当金として、標準報酬日額の3分の2の金額が、産前42日間分(6週間分)、産後56日間分(8週間分)支給されます。標準報酬日額とは、社会保険料の算定基礎となる標準報酬月額の30分の1の額をいいます。

なので、大まかにいうと、出産手当金では、日割り計算した給与の42日分+56日分の給付を受けることができるわけです。

これら産前産後の休業も、出産手当金も、出産に対する措置なので、対象は当然女性に限られます。

 

雇用保険からの育児休業給付金

また、子の出生から子どもが1歳に達するまでは、雇用保険から育児休業給付金が出ます(ただし、産後休業を取得している場合、その期間は除く)。

現在の育児休業給付金の額は、育児休業開始から半年間は休業開始時日額の67%、それ以降は50%となっています。

休業開始時日額とは、休業開始日前日を離職の日とみなしたうえで、失業保険の日額(賃金日額)を計算した額となります。

賃金日額は、在職していた最後の6ヶ月間の賃金の総額を180で割ったものとなるので、基本的には給与を日割りしたものに近い額となります。ただし、この賃金日額には年齢によって上限額があるので、その額は最大でも12790円~15620円(この上限は年度によって変わります)が最大となります。

よって、これよりも賃金が多い人からすると実質的な保障は67%や50%よりも低くなります。

 

子の看護休暇・介護休暇

子供が小学生入学前の場合で、病気や予防接種等で看護が必要な場合、労働者は子の看護休暇を取ることができます。取得できるのは子供が1人なら年に5日、2人以上なら年10日です。

同様に、家族の介護が必要な労働者については介護休暇の取得が可能で、取得日数は介護が必要家族が1人なら年に5日、2人以上なら年10日です。

いずれも、有給にする義務はなくほとんどの会社は無給の休暇としています。

 

メルカリ VS 行政の保障

さて、これらを踏まえた上でメルカリのものと比較してみると、まず産前の休業が法定のものよりも4週間も長い上、3分の2しか保障がない出産手当金と比較しても、給与の保障が100%。圧勝です。

出産後についても、出産から半年間は、出産手当金にしろ育児休業給付金にしろ、法定のものは給与の保障は最大で3分の2ですが、メルカリはこちらも100%で圧勝しています。

さらに、子の看護休暇・介護休暇についても有給です。

一方で、女性に比べて、男性について保障がちょっと手薄のようにも見えますが、男性の育児休業取得率があまりにも低い現在の状況を考えると、出産後の8週間について、100%の給与保障が付く時点でかなり大きな保障だと思いますし、育児休業を取ろうと思うには十分なインセンティブのように思えます。

その他、出産後半年以降のことや、男性の長期の育児休業など、メルカリの人事制度にはいくつか不明な点もありますが、記載されていない内容については、法律通りの保障を行うと考えられるので、何をどうやっても、法定のものよりも手厚い保護が受けられると思って間違いないでしょう。

 

個人的には、ITベンチャーにはデスマーチと呼ばれるような、過酷な労働環境も多いといわれる中、このような従業員のことを大切に考え、その人生を手助けするような制度を設立したメルカリを応援したいと思いました。

とりあえず、メルカリのアプリを落とす!