労働安全衛生法では、労働時間が長期におよぶ者に対し、会社に面接指導を行うことを義務付けています。
働き方改革による労働時間の上限規制もあり、最近は極端な長時間労働をする人は減っているかと思いますが、法律に定めのある制度なので、もしもの時のために内容を押さえておきましょう。
- 面接指導が「義務」となる具体的な条件と、申出が必要なケース
- 研究開発業務従事者・高度プロフェッショナル制度適用者に対する特例
- 面接指導を実施した後に、会社が講じるべき措置と記録保存のポイント
- 産業医の選任義務がない事業場における面接指導の対応方法
長時間労働者への面接指導とは
面接指導を行う必要がある場合
長時間労働者への面接指導とは、以下の条件に当てはまる労働者から申し出があった場合に、会社がその労働者に対して行わなければならないものです。
- 1ヵ月あたり、時間外・休日労働を時間数が80時間を超えていて、かつ
- 疲労の蓄積が認められる
面接指導を行うのは、会社の経営者や上司ではなく「医師」である必要があります。
なので、上記の条件を満たす労働者から「医師の面接指導を受けたい」との申しであった際に、対応できるよう、面接指導を行ってもらう医師や病院を決めておく必要があります。
ただし、この面接指導は、労働者からの申し出を条件としているため、上記の条件に当てはまる労働者がいる場合でも、会社には面接指導を行う義務はありません。加えて、上記の条件を満たさない労働者への面接指導は努力義務となっています。
面接指導にて、通常の労働者と違う扱いとなる労働者
なお、労働者のうち「研究開発業務従事者」「高度プロフェッショナル制適用者」については、以下のとおり、通常の労働者と基準が異なります。
研究開発業務従事者(「新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務」に従事する労働者)
「新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務」に従事する労働者(研究開発業務従事者)とは、以下の業務に従事する労働者のことをいいます。
① 自然科学、人文・社会科学の分野の基礎的又は応用的な学問上、技術上の問題を解明するための試験、研究、調査
② 材料、製品、生産・製造工程等の開発又は技術的改善のための設計、製作、試験、検査
③ システム、コンピュータ利用技術等の開発又は技術的改善のための企画、設計
④ マーケティング・リサーチ、デザインの考案並びに広告計画におけるコンセプトワーク及びクリエイティブワーク
⑤ その他①から④に相当する業務
この研究開発業務従事者については、時間外労働の上限規制の対象外になっていることもあり、以下のとおり、通常の労働者とは面接指導の要件が異なっています。
1ヵ月あたり時間外・休日労働を時間数が100時間を超える場合、面接が義務化(事業者には実施義務、労働者には受ける義務がある)
※ 80時間を超え100時間以内の場合は、通常の労働者と同様、疲労の蓄積が認められる場合で労働者の申告があった場合、事業者は実施しなければならない
時間数が100時間と、通常の労働者よりも面接指導が必要となるまでの時間が多くなっています。
一方、その実施は労働者の申出を要件としておらず、条件を満たしたら必ず面接指導を行う必要があります。
高度プロフェッショナル制度の適用者
健康管理時間が1週間当たり40時間を超えた場合のその超えた時間の合計が1か月100時間を超えた場合、面接が義務化(事業者には実施義務、労働者には受ける義務がある)
※ 1週間当たり40時間を超えた健康管理時間数=1か月の創建高管理時間数ー(計算期間(1か月間)の総歴日数/7)×40
高度プロフェッショナル制度の適用者には「労働時間」が適用されません。その代わり「健康管理時間(※)」というのがあり、こちらの時間数で面接指導が必要かどうかを判断します。
高度プロフェッショナル制の適用者の面接指導についても、その実施は労働者の申出を要件としておらず、条件を満たしたら必ず面接指導を行う必要があります。
※ 健康管理時間=「事業場内にいた時間」+「事業場外において労働した時間」
面接指導後の措置
会社は、面接指導が行われた際はその結果について、医師の意見を聴く必要があります。
そして、会社は、医師の意見を勘案し、その必要があると認められる場合、労働者の健康を確保するための措置を講ずる必要があります。
加えて、面接指導の結果について、会社はその記録を5年間保存しておく必要があります。
産業医の選任義務のない事業場
なお、面接指導は基本的には産業医が行うものです。

一方で、産業医の選任義務のない50人未満の事業場では、地域産業保健センターで無料で受けることができます。

