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中日新聞

テーマは第三者行為災害、「保険か賠償金か選ぶ(働く人を守る労働保険第24回:中日新聞連載)」

2016/10/04

 

通勤中の交通事故はもちろん、居酒屋で働いている人が酔客ともめて殴られた場合も労災になります。ただ、会社や事故にあった当事者ではない「第三者」が関わっている点で通常の労災と少し異なります。このような労災を「第三者行為災害」と呼びます。

客に殴られたケースでは、労災保険からけがに応じた給付をもらえます。同時に、損害賠償を請求する権利もありますね。労災に遭ったのは気の毒とはいえ、保険給付と賠償金の両方はさすがにもらいすぎ。そこで、第三者行為災害では、保険給付と損害賠償請求どちらを優先するか選ぶことになります。

なお、交通事故では自動車保険を利用することが多いかもしれませんが、自動車保険からの給付は「労災保険ではなく、損害賠償請求を選択した」と考えます。

労災保険を選んだ場合、給付水準は通常通りですが、加害者は給付にかかった費用を国から請求されます。これを「求償」と言います。賠償金をもらっても労災保険から給付はありますが、賠償金の分が差し引かれます。

労災から給付を受けても、後で求償が行われるので、わざわざ損害賠償を請求して責任を追及する必要はないように思えます。しかし、労災保険には精神的な苦痛に伴う慰謝料などは含みません。自動車保険の方が労災保険より速やかに給付を受けられることも。その一方で、加害者と安易に示談すると、労災の給付を受ける権利がなくなる可能性があり、専門家に相談するなど慎重な判断が必要となります。

仕事が原因で同僚とけんかになって殴られた場合も第三者行為災害。ただ、この場合は求償は行われません、そんな事態を引き起こした責任は会社にあると考えるからです。

中日新聞H28.9.15付「働く人を守る労働保険」より転載

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名古屋の社労士事務所、川嶋事務所の代表で、このブログの筆者。 新しいこと、もの、特にIT関連が大好きで、社労士としては会社・労働者のITトラブル対策・就業規則作成が得意分野。 2016年4月から9月まで中日新聞で「働く人を守る労働保険」を連載、開業社労士専門誌「SR」に寄稿するなど、メディアでの執筆活動も。