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出勤5分で退勤?賃金と休業手当の関係とは【名古屋の社労士が解説】

「社員が出勤して5分で帰ってしまった…」

あるいは、

「仕事なかったので5分で帰らせてしまった」

そんなとき、会社として給料を払う義務はあるのでしょうか?

実は、これ、よくある相談のひとつで、実際、わたしも顧問先等からよく相談をもらいます。

 

1. 結論:5分でも働いたなら、その分の給与は支払いが必要

まず原則として、実際に働いた時間分の給与は必ず支払う義務があります。

それが、たとえ5分であっても、です。

もし、支払わない場合、その5分分は未払い賃金となるため注意が必要です。

 

2. 休業手当の支払が必要な場合も

では、「5分分だけ払えばいいのか?」というと、必ずしもそうとは言い切れません。

なぜかというと、労働基準法第26条の「休業手当」を支払わなければならない場合があるから。

仮に休業手当の支払が必要な場合、平均賃金の60%以上を支払う必要が出てきますが、その支払が必要かどうか「誰の都合で帰ったのか」で判断します。

 

2.1. 会社の判断で帰らせた場合(会社都合)

たとえば、

「今日は仕事がないから」

「体調が悪そうだから帰っていいよ」

など、会社の判断で帰らせた場合、休業手当の支払い義務が発生します。

つまり、実際に働いた5分分の給与に加えて、休業手当として支払う必要があるわけです。(厳密には「5分分の給与+休業手当」の合計額が平均賃金の60%以上ならOK)

なお、休業手当について、もっと詳しく知りたいという方はは、以下の記事をどうぞ。

会社って社長が勝手に休みにしていいの? 休業手当って?

 

2.2. 労働者の都合で帰った場合(労働者都合)

一方で、「体調不良」「私用や家庭の事情」など、労働者の都合で帰宅した場合は、「ノーワーク・ノーペイの原則」が適用されます。

つまり、この場合、支払うのは働いた分の給与(=5分分)だけでOKです。

 

3. 「誰の都合か」を明確に

たとえ同じ「早退」でも、会社都合か労働者都合かで、支払うべき金額が大きく変わります。

そのため、トラブルを防ぐためには、

  • 早退・欠勤時の取り扱いを就業規則に明記する
  • 「会社判断による早退」と「本人都合による早退」を区別できる書式・記録を残す
  • 管理職に対しても対応ルールを共有・教育する

といったように、ルールを整備しておくことが重要といえるでしょう。

 

4. 名古屋の企業での労務トラブル防止なら川嶋事務所へ

川嶋事務所では、名古屋エリアを中心にトラブルを防ぐ就業規則・人事制度の設計支援を行っています。

「うちの場合、大丈夫だろうか?」

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そんなときは、ぜひお気軽にご相談ください。

実際のケースに合わせて、会社を守るためのルールづくりをサポートいたします。

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  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士川嶋事務所の代表。 「会社の成長にとって、社員の幸せが正義」をモットーに、就業規則で会社の土台を作り、人事制度で会社を元気にしていく、社労士兼コンサルタント。 就業規則作成のスペシャリストとして豊富な人事労務の経験を持つ一方、共著・改訂版含めて7冊の著書、新聞や専門誌などでの寄稿実績100件以上あり。

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