労務管理

「しまむら土下座事件」も使用者にとっては他人事ではない!?

2013年10月7日

洋服店の「しまむら」の店員2名に土下座を強制した罪で中年の女性が逮捕されました。

<札幌東署>しまむら店員に土下座させる…強要容疑で女逮捕

どうしてこの件が話題になっているかといえば、逮捕されたじ女性自らが店員が土下座している写真をTwitterに投稿していたからです。そのため逮捕以前から女性の行為に対してネットでは非難が集まっていました。おそらくですがこのネットでの非難が警察が逮捕まで動いた大きな要因でしょう。

バカなことをする人間というのは、自分がバカなことをしている自覚がないわけで、それをソーシャルメディアに載せることがバカなことであることもわからないのだから、あまり騒ぐのもアホらしいかもしれません。

ただ、女性の逮捕要件である「強要罪」というのは、刑法を扱わない社労士でもなかなか見逃せません。

(強要)

第223条 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、3年以下の懲役に処する。

2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者も、前項と同様とする。

3 前2項の罪の未遂は、罰する。

いくら法律で対等とされていても、会社と社員ではどうしても会社のほうが立場が強くなるのはしかたのないことです。会社には業務命令という形で労動者に対してかなりの範囲の命令を行うことができますからね。労働契約や就業規則で業務命令の範囲を詳細に定めておいてあるならなおさらです。

しかし、それが行き過ぎると今回逮捕された女性のように強要罪に問われる可能性は否定できません。

一番よくあるのがいわゆる「退職強要」です。

日本では労動者を解雇することが事実上不可能に近く、経営不振等で労動者の数を減らすとなると、早期退職優遇制度などを用いて、自主的に辞めてもらわないとなかなかうまくいきません。

また、労動者の解雇に対しては厳しい日本の法律(というより判例)ですが、労動者に退職を勧める退職勧奨に関しては、特段の規定を定めておらずいろいろな意味で緩いと言われています。

そのため、どうしても辞めてもらいたい人がいる場合、退職勧奨を行うのが現実的なのですが、なかなか労動者側が首を縦に振らないと会社側も苛ついてしまう。そして、退職勧奨が行き過ぎて「退職強要」となるような行為、例えば中傷などによる名誉毀損などを行ってしまうのです。

こうした退職勧奨の退職強要の境界は案件により異なるため、一概にここまでがOKでここからはNGとは断言できませんが、そうした経営者様の疑問や不安に答えることができるのが我々社労士。わからないことや困ったことがあったらお気軽に社会保険労務士にご相談ください。

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  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士川嶋事務所の代表。「いい会社」を作るためのコンサルティングファーム「TNC」のメンバー。行動経済学会(幽霊)会員 社労士だった叔父の病気を機に猛勉強して社労士に。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 著書に「「働き方改革法」の実務」「定年後再雇用者の同一労働同一賃金と70歳雇用等への対応実務」「就業規則作成・書換のテクニック」(いずれも日本法令)のほか、「ビジネスガイド」「企業実務」などメディアでの執筆実績多数。

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