労災保険制度

テーマは労災保険料、「すべて会社が負担する(働く人を守る労働保険第17回:中日新聞連載)」

2016年7月28日

 

突然ですが、給料明細を見てみてください。「労災保険料」は天引きされていませんよね。もし引かれていれば、違法に搾取されています。すぐに労働基準監督署に相談してください。雇用保険料と違い、労災保険料はすべて会社が負担する決まりだからです。

労災事故が起きた場合、医療費や生活費を保障するのは会社の役目とされています。「働き手の安全に配慮する義務は会社が負っており、労災が起きたのは会社が義務を怠ったから」との考えが根底にあるからです。

とはいえ、経営が苦いため医療費などを保障する余裕が会社もありえます。後遺症が残るような大けがをした場合などは保障費が膨らみ、小さな会社だと経営を圧迫しかねません。労災にあった人も、保障費を捻出して会社が潰れてしまっては充分な給付を継続して受けられません。

労災保険はこうした事態を避けるため、各会社から保険料を集めさまざまな給付をする仕組みになっています。

会社側は、業種や法人かどうかなどによらず、労働者を一人でも雇用すれば労災保険に加入しなくてはいけません。働く人は正規と非正規の別を問わず、労災保険の給付を受けることができます。

だから「労災保険に入れるのか」と心配する必要はありません。万が一、会社が違法に労災保険に加入していなくても大丈夫。この場合も給付を受けられます。一方、加入義務を怠った会社は罰として給付費等を国から徴収されます。

会社が負担する保険料率は業種によって異なり、労災が起こりやすい業種ほど高くなります。保険料率は三年ごとに改正されていますが、労災事故が減少傾向のため改正のたびに平均的には下がっています。

中日新聞H28.7.28付「働く人を守る労働保険」より転載

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  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士川嶋事務所の代表。「いい会社」を作るためのコンサルティングファーム「TNC」のメンバー。行動経済学会(幽霊)会員 社労士だった叔父の病気を機に猛勉強して社労士に。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 著書に「「働き方改革法」の実務」「定年後再雇用者の同一労働同一賃金と70歳雇用等への対応実務」「就業規則作成・書換のテクニック」(いずれも日本法令)のほか、「ビジネスガイド」「企業実務」などメディアでの執筆実績多数。

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