名古屋の中小企業を見ても、代休制度を導入している会社は少なくありません。
一方で、その根拠となる就業規則の規定はよく言えば簡易的、悪く言えばリスクの高い内容となっています。
この記事ではそんな代休の規定を定める際の注意点について解説します。
- 代休を就業規則に定める際の注意点
- 代休の取得は会社命令にすべきか
- 代休の就業規則の規定例
「代休」とは
代休とは、休日に労働を行わせた後に、代わりの休日を他の労働日に与える制度です。
なお、この記事は主に代休と就業規則の規定について解説するものなので、代休のもっと詳しい法律上・運用上のの注意点については、以下の記事をご覧ください。

「代休」条文の必要性
代休は法律上に定めのある制度ではなく、必ず与えなければならないものでもありません。
よって、代休制度を設けるかどうか、代休をどういった制度にするかについては、法律に違反しない限り会社の裁量となります。
一方で代休制度を設ける場合、就業規則の絶対的必要記載事項である「休日」に関連するものであるため、就業規則にその定めが必要となります。
「代休」条文作成のポイント
代休取得は会社命令か、労働者の判断か
代休の取得については会社が取得日を指定する場合や、労働者の判断で好きな日に取得でできるようにする場合等、会社によってルールは様々です。
ただ、前者はともかく後者の場合、労働者が自分の意思で代休を取得しない可能性もあるので、仮に労働者判断とする場合も、最終的には会社が強制できるよう形で規定を定めておくとトラブルは少なくなることでしょう。
なお、仮に強制できるとする規定がなかったとしても、代休を与えることが労働者の不利益とはならないため、代休を特定の日に強制的に取得させることは問題ないと考えられます。
代休取得時の賃金を明確にしておく
代休の原因となった休日労働をした日を無給とすることはできませんが、代休取得日についてはノーワーク・ノーペイなので給与を支払う義務は会社にはありません。
なので、代休取得日を無給とするか有給とするかは会社の裁量次第です。
ただし、実務上は休日労働をした日の基礎賃金(つまり「1」の部分)と、休日労働の代わりに休日とした日の賃金(こちらも「1」)とを相殺し、割増賃金部分(0.35または0.25)のみを支払うのが一般的です。
ただ、このような扱いは代休の基となった休日労働の日と代休を取得した日が同一の賃金計算期間内にないと、休日労働の代わりに休日とした日の賃金(「1」)が支払われないままとなり、賃金の全額払いの原則に反してしまう点に注意が必要です。

半日単位・時間単位での取得も可能
就業規則上の定めがある場合、代休を半日単位・時間単位での取得させることも可能です。
ただし、半日単位や時間単位の場合の取得を行う場合、上で挙げた基礎賃金の相殺が難しくなるので、賃金の未払いが発生しないよう、どう運用を行うかは、より考慮しておく必要があります。
就業規則「代休」の規定例
第○条(代休)
- 前項の代休取得日は無給とする。ただし、法定休日労働が生じている場合はその休日労働割増賃金の割増部分(0.35)、法定時間外労働が生じている場合は時間労働割増賃金の割増部分(0.25)、深夜労働が生じているときは深夜労働割増賃金(0.25)を支払う。
- 会社は第△条の休日に休日労働をさせた場合、代休を取得させることがある。
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