就業規則の「休日」条文の作成のポイントと規定例

労働者からすると、賃金や労働時間と並んで重要な労働条件といえるのが休日です。

会社が就業規則にて休日のルールを定める場合、法律上守らないといけないことがある一方、会社の裁量で決められる部分も非常に多くなっています。

そのため、法律を守りつつ、会社の実態に合った規定作成を行うためにも、会社の休日規定の確認のため本記事をご活用いただければと思います。

この記事でわかること
  • 就業規則における「休日」条文が必須の理由
  • 法定休日と所定休日の違いと、規定上の正しい区別方法
  • 法定休日・所定休日を特定する場合/しない場合の実務上のメリット・デメリット
  • 実務に使える就業規則「休日」条文の具体的な規定例と注意点
目次

法律・労務管理から見た「休日」

この記事は、休日と就業規則の規定について書かれたものです。

法律や労務管理の運用から見た休日について、以下の記事で詳しく解説を行っているのでこちらをどうぞ。

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「休日」条文の必要性

休日は就業規則の絶対的必要記載事項となります。

そのため、就業規則作成の際は必ず規定を作成する必要があります。

労働者にとっても非常に重要な労働条件であるため、実態とかけ離れたような規定作成は避けなければなりません。

「休日」条文作成のポイント

法定休日の特定

法定休日を特定すべきとは法令に書かれていない

労働基準法では、就業規則において、法定休日をどの日(曜日)と特定するかまでは義務づけていません。

過去の通達(【昭23.5.5 基発682 号、昭63.3.14 基発150 号】)では、休日を特定することが法の趣旨に沿うとし、就業規則においては、単に1 週間に1 日というような形ではなく、具体的に一定の日を休日と定めることが望ましいとしていますが、通達は行政の法令解釈の一つであるため、そこに絶対的な効力があるわけではありません。

よって、法定休日をいつとするか特定しない形の休日規定もあり得るわけです。

法定休日を特定するメリット

法定休日を特定すること、しないことについては、メリット・デメリットあり、どちらが絶対的に良いということはありません。

そこで両者メリットを確認しておくと、まず、法定休日を特定するメリットとしては、法定休日がどの日か、後から変わることがないので労務管理上の手間が少なくなります。

要するに、毎週日曜日を法定休日と定めておけば、日曜日に休日出勤したときのみ、法定休日労働扱いすればいいわけなので、給与計算や労働時間管理が簡素化されます。

法定休日を特定しないメリット

一方、法定休日を特定しないことのメリットとしては、人件費を下げられる可能性があることです。

というのも、法定休日を特定しない場合、4週4日の休日が確保できない場合のみ法定休日労働扱いとなります。

つまり、休日労働の日数がいくら多くても、4週4日にかかってこない限り、具体的には4週のうち2日や3日しか休日がない場合しか、割増率が3割5分になることがないわけです。

とはいえ、これは法定休日以外の所定休日全てで休日労働をしていることと同義で有り、ここまでくると時間外労働の上限規制や長時間労働等の他の問題が発生している可能性が高いでしょう。

所定休日の特定

所定休日の特定についてはどうでしょうか。

こちらについては、そもそも法律の定めのない部分なので、特定すべきかどうかについて法令や通達に定めはありません。

ただし、例えば、就業規則に「祝日を休みとする」とした場合で、ある祝日に出勤させようと思うと、それは休日出勤扱いとなってしまいます(割増賃金が発生するかは、その週の労働時間によります)。また、後からそうした実態に合わない休日をなくそうとすると労働条件の不利益変更となる可能性が出てきます。

そのため、会社の目線で言えば、あまり特定しない方が会社としては都合の良い部分はありますが、労働者からするといつが休日かわかっていた方が働きやすいのは確かです。

以上を踏まえると、所定休日については、就業規則の休日規定については、無理のない範囲内で特定する、というのが現実的な落とし所となるでしょう。

法定休日、所定休日の規定上の区別

法定休日か所定休日かについては、割増賃金や時間外労働の上限規制については法律上の扱いが異なるため、きちんと区別する必要があります。

逆にいうと、それ以外の場合については法定休日と所定休日を区別する必要性はほぼありません。

そのため、就業規則上で休日を区別する必要のない箇所では単に「休日」と記載するのが普通です。

日曜日や国民の祝日との関係

日常用語における休日では、日曜日や国民の祝日を指すことが少なくありません。

では、会社は日曜日や国民の祝日については必ず休日にしないといけないかというと決してそんなことはなく、基本的には、いつを休日とするかは会社が業務との兼ね合いで決めてしまって構いません。

代表的な例でいうと、 不動産業の場合、土日がかき入れ時なこともあり、水曜日を休日とすることが多いです。

ただし、一度、就業規則に休日として定めた日を後でそうでなくすることは、労働条件の不利益変更となる可能性があります。

例えば、就業規則に国民の祝日を休日にするとしていたにもかかわらず、後になってこうした規定を削除する場合がこれです。

就業規則「休日」の規定例

第○条(休日)

  1. 休日は次の通りとする。
    ①日曜日
    ②夏季休暇(   月  日 ~  月  日)
    ③年末年始休暇( 12月  日 ~ 1月  日)
    ④その他会社の年間カレンダーで定める日
  2. 法定休日は日曜日とする。
  3. 業務の都合により会社が必要と認める場合は、あらかじめ1項の休日を他の日と振り替えることがある。

規定の変更例

法定休日を特定しない場合

第○条(休日)

  1. 休日は次の通りとする。
    ①日曜日
    ②夏季休暇(   月  日 ~  月  日)
    ③年末年始休暇( 12月  日 ~ 1月  日)
    ④その他会社の年間カレンダーで定める日
  2. 前項の休日のうち、法定休日を上回る休日は所定休日とする。
  3. 業務の都合により会社が必要と認める場合は、あらかじめ1項の休日を他の日と振り替えることがある。

土曜日や祝日も休日である場合

第○条(休日)

  1. 休日は次の通りとする。
    ①日曜日
    ②土曜日
    ③国民の祝日・休日
    ④夏季休暇(   月  日 ~  月  日)
    ⑤年末年始休暇( 12月  日 ~ 1月  日)
    ⑥その他会社の年間カレンダーで定める日
  2. 前項の休日のうち、日曜日を法定休日とする。
  3. 業務の都合により会社が必要と認める場合は、あらかじめ1項の休日を他の日と振り替えることがある。

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