安全衛生

Q15 働き方改革で産業医に関する法改正があったと聞きました

2016年6月5日

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Q15 働き方改革で産業医に関する法改正があったと聞きました

2016年6月5日

A15 産業医の役割強化を目的に、事業者、産業医双方の義務が増えたほか、産業医の権限がきょうかされm

働き方改革では労働者の健康確保のため、産業医の役割が強化に加え、事業者との連携を深めることを目的とした法改正も行われています。

 

産業医への情報提供

産業医を選任する事業者については、以下の「健康管理等を適切に行うための情報」を産業医に提供する義務があります。

提供する必要のある情報 提供までの期限
健康診断実施後の措置、長時間労働者の面接指導後の措置、ストレスチェック後の措置又は講じようとしている措置の内容に関する情報 医師又は歯科医師からの意見聴取を行った後、遅滞なく提供
1か月当たりの時間外・休日労働時間が80時間を超えた労働者の氏名及び当該労働者にかかる当該超えた時間に関する情報 80時間を超えた時間外・休日労働時間の算定を行った後、速やかに提供
上記の2つの他、労働者の業務に関する情報であって産業医が労働者の健康管理等を適切に行うために必要と認めるもの 産業医から提供を求められた、速やかに提供

 

上記の情報の提供は、産業医の選出義務のない50人以上の事業場で産業医を選出している場合、努力義務となります。

 

産業医の勧告

働き方改革前より、産業医には事業者に対する勧告を行う権限が与えられていました。

しかし、事業者側はその勧告を受けたとしても、尊重しなければならないとはされていたものの、それ以上のことについては特に定めはされていませんでした。

そのため、働き方改革に伴う法改正では、事業者は産業医から勧告を受けた際は遅滞なく、衛生委員会または安全衛生委員会へ必要事項を報告することが義務づけられます。

義務づけられるの以下の項目で、合わせて、事業者はこれを3年間保存しなければなりません。

  • 当該勧告の内容
  • 当該勧告を踏まえて講じた措置または講じようとする措置の内容(措置を講じない場合はその旨とその理由)

 

産業医の業務の周知

働き方改革に伴う法改正で、事業者には労働者に産業医の業務を周知する義務が課せられました。

周知しなければならない内容は以下の通りです。

  • 産業医等の業務の具体的な内容
  • 産業医等に対する健康相談の申出の方法
  • 産業医等による労働者の心身の状態に関する情報の取扱い方法

 

また、周知の方法は、就業規則等の周知と同様です。

  • 常時各作業場の見やすい場所に掲示し、または備え付けること
  • 書面を労働者に交付すること
  • 磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること

 

業務の周知は、産業医の選出義務のない50人以上の事業場で産業医を選出している場合、努力義務となります。

 

産業医への権限付与等

産業医には作業環境の維持管理や衛生教育をなし得る権限などが与えられています。

働き方改革に伴う法改正に伴い、産業医に以下の権限が新たに付与されました。

  • 事業者又は総括安全衛生管理者に対して意見を述べること
  • 労働者の健康管理等を実施するために必要な情報を労働者から収集すること
  • 労働者の健康を確保するため緊急の必要がある場合において、労働者に対して必要な措置を取るべきことを指示すること

 

産業医と衛生委員会(安全衛生委員会)

働き方改革に伴う法改正により、産業医には、衛生委員会または安全衛生委員会に対して、労働者の健康を確保する観点から調査審議を求めることができるようになりました。

また、事業者は産業医が辞任、または産業医を解任したときは遅滞なく、衛生委員会または安全衛生委員会に報告しなければなりません(産業医が辞任、もしくは産業医を解任した後の委員会で産業医のことが話題にならないことは考えられませんが)。

 

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  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士川嶋事務所の代表。「いい会社」を作るためのコンサルティングファーム「TNC」のメンバー。行動経済学会(幽霊)会員 社労士だった叔父の病気を機に猛勉強して社労士に。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 著書に「「働き方改革法」の実務」「定年後再雇用者の同一労働同一賃金と70歳雇用等への対応実務」「就業規則作成・書換のテクニック」(いずれも日本法令)のほか、「ビジネスガイド」「企業実務」などメディアでの執筆実績多数。

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