1. A10 問題ありませんが、逆の場合は問題になるので注意してください
1.1. 法定労働時間の総枠を超える場合、割増賃金の支払義務が発生
フレックスタイム制では、変形期間の総労働時間を定める必要がありますが、この総労働時間は法定労働時間の総枠内で定めなければなりません。
法定労働時間の総枠は「40(特例事業の場合は44)×歴日数÷7」で求めます。
よって、歴日数が30日の月の場合、法定労働時間の総枠は
- 40×30÷7=171.42時間
となります。
よって、30日の月の場合、フレックタイム制の変形期間の総労働時間はこの171.42の範囲内で定める必要があります。
1.2. 労働時間が不足している場合
フレックスタイム制は、始業時刻と終業時刻の決定をゆだねる代わりに、労働者は会社の設定する月の総労働時間分しっかり働く必要があります。
例えば、変形期間の総労働時間を170時間と会社が定めているにもかかわらず、160時間しか働いていない場合、契約上の労動時間働いていないことになるので、10時間の足りない分を差し引くことは問題ありません。
また、差し引くのではなく、足りない分を翌月に持ち越し余分に働いてもらう、ということもできます。ただし、この場合、翌月の総労働時間と持ち越した労働時間を足した時間が法定労働時間の総枠内に収まるのが条件です。
足りない時間が10時間だとして、翌月に持ち越せる時間が2時間しかない場合、2時間持ち越して、8時間はその月の給与から引くということもできます。
1.3. 労働時間がオーバーしている場合
逆に、労働者の労働時間が、総労働時間の枠をオーバーしている場合、その分の賃金を支払う必要がある他、法定の総枠も超える場合はそれにプラスして時間外手当も支払う必要があります。
労働時間がオーバーしている場合は、オーバーしている分、翌月の労働時間を減らしたり、その分の賃金を翌月に持ち越して支払う、といったことはできません。