1か月単位の変形労働時間はについては、誤った残業代計算が行われていることがあります。
具体的には「月の総枠だけ見ればよい」といった運用ですが、実際には、1日・1週・対象期間全体の3段階で時間外労働を計算しなければいけません
この記事では、1か月単位の変形労働時間制における残業代の計算方法について、わかりやすく解説します。
- 1か月単位の変形労働時間制における残業代の基本的な考え方
- 「1日」「1週」「対象期間」での時間外労働の判断方法
- 法定労働時間の総枠の計算方法と意味
- 実務でよくある誤解とそのリスク
- フレックスタイム制との違いと使い分けの考え方
1か月単位の変形労働時間制の残業代の計算方法
1か月単位の変形労働時間制の残業代は、以下のとおり、1日、1週、対象期間全体の順に時間外労働の時間数をみて、残業代計算をします。
1日の法定時間外労働
労使協定または就業規則等で、1日8時間を超える時間を定めた日はその時間から法定時間外労働となります。
つまり、1日10時間と変形した日については10時間を超えたところから時間外労働となるわけです。
一方、それ以外の日、例えば1日の所定労働時間が8時間、もしくは変形によって1日7時間と定めた日の場合、8時間を超えて労働した時間から時間外労働となります。
1週の法定時間外労働
労使協定または就業規則等で、1週40時間を超える時間定めた週はその時間から法定時間外労働となります。
例えば、土曜日を出勤として1週48時間に変形した週については、48時間を超えたところから時間外労働となります・
一方、週40時間の週や、変形で40時間未満となった週については、40時間を超えた時間から時間外労働手当が発生します。
なお、いずれの場合も、1日単位で時間外労働となった時間は除いて考えるのは、通常の労働時間制と同じです。
対象期間の法定労働時間外労働
対象期間の法定労働時間の総枠(40時間(※)×対象期間の歴日数÷7日)を超えて労働した時間が時間外労働の時間となります(その際、1日または1週で時間外労働となった時間は除いて考えます)。
例えば、対象期間が1か月で歴日数が31日の場合、法定労働時間の総枠は177.1時間となります。
※ 特定の事業については週の法定労働時間は40時間ではなく44時間となります。
週40時間の場合
| 月の歴日数 | 法定労働時間の総枠 |
| 28日 | 160時間 |
| 29日 | 165.7時間 |
| 30日 | 171.4時間 |
| 31日 | 177.1時間 |
週44時間の場合
| 月の歴日数 | 法定労働時間の総枠 |
| 28日 | 176時間 |
| 29日 | 182.2時間 |
| 30日 | 188.5時間 |
| 31日 | 194.8時間 |
実務上のよくある勘違いと注意点
1か月単位の変形労働時間制の残業代計算についてよくある勘違いとして、対象期間の法定労働時間の総枠だけ見ていればいい、というものがあります。
つまり、法定労働時間の総枠さえ超えなければ割増賃金は支払わなくてもいい、という勘違いです。
特に自由シフトやフレックスに近いような働き方をしている会社で、こうした間違った運用がされていることがあります。
しかし、実際には、すでに見たように1日、1週についても時間外労働があるかどうかを判断する必要があるので注意が必要です。
なお、仮に法定労働時間の総枠の中で自由に働いてもらう、といった運用をしたいのであれば、フレックスタイム制を導入する必要があります。

その他、1か月単位の変形労働時間制について
1か月単位の変形労働時間制導入のメリット・デメリットについては、以下の記事で解説しています。

また、1か月単位の変形労働時間制入にあたって流れや手続きについてはこちらの記事をどうぞ。

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