時間外労働というと、会社の業務の都合による時間外労働や休日労働をイメージする人が多いことでしょう。
一方で、労働基準法には、会社の業務の都合による時間外労働や休日労働とは別に、緊急災害時の時間外および休日労働に関する定めが行われています。
この2つについては、同じ時間外・休日労働のことなので、同じ条文にまとめてしまう規定例も少なくありません。
しかし、両者には法律上のルールが異なる部分がある上、時間外労働や休日労働を行わせる理由自体も異なるため、条文を分けておいた方がわかりやすいでしょう。
- 緊急災害時等の時間外・休日労働について、就業規則に条文を設ける必要性
- 通常の時間外・休日労働と条文を分けて定めた方がよい実務上の理由
- 緊急災害時等の時間外・休日労働の規定例
法律・労務管理から見た「緊急災害時等の時間外・休日労働」
この記事は、緊急災害時等の時間外・休日労働と就業規則の規定について書かれたものです。
法律や労務管理の運用から見た緊急災害時等の時間外・休日労働について、以下の記事で詳しく解説を行っているのでこちらをどうぞ。

「緊急災害時等の時間外および休日労働」条文の必要性
緊急災害時等の時間外・休日労働については、会社の業務の都合による時間外・休日労働よりも会社に有利な制度です。
そのため、万が一の天災等のときに時間外・休日労働が必要な場合にこれを利用しない理由は基本的にありません。
そして、こちらの制度の利用に当たっては、就業規則の定めが必要となるため、条文は必須といえます。
「緊急災害時等の時間外および休日労働」条文作成のポイント
規定の内容を会社によって変える必要はない
規定の内容を個々の会社に合わせる箇所がないので、会社ごとにアレンジする必要のない規定です。
ただし、定め自体はほぼ必須となるので記載漏れがないよう注意する必要があります。
通常の時間外・休日労働の規定と一緒にすることもできるが
緊急災害時等の時間外・休日労働と、一般的な会社の業務の都合で行う時間外・休日労働は、同じ時間外・休日労働ですが、その目的は大きく異なり、法律上も区別されています。
一方、同じ時間外・休日労働ということで、1つの条文にまとめる規定例も少なくありません。
ただ、両者は、18歳未満の労働者の扱いや妊産婦など、扱いが異なる部分も少なくなく、1つの条文にまとめると、逆に紛らわしいと考え、弊所の規定例ではこの2つを分けています。
「緊急災害時等の時間外および休日労働」の規定例
第○条(緊急災害時等の時間外および休日労働)
会社は、災害その他避けることのできない事由によって臨時の必要がある場合、労働基準法第33条第1項の規定に基づき、第△条の所定労働時間外、または第□条の休日に労働を命じることができる。
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