1年単位の変形労働時間制の残業代については、以下①、②、③の順に時間外労働した時間数を見て、計算をしていきます。
1年単位の変形労働時間制の残業代計算方法
① 1日の法定時間外労働
労使協定で、1日8時間を超える時間を定めた日はその時間、それ以外の日は8時間を超えて労働した時間。
例えば、1日10時間の労働日は10時間を超えた時間から、1日6時間の労働日の日は8時間を超えた時間から時間外手当が発生します。
② 1週の法定時間外労働
労使協定で、1週40時間を超える時間定めた週はその時間、それ以外の週は1週40時間を超えて労働した時間(①で時間外労働となった時間を除く)。
例えば、土曜日が出勤日で1週48時間の週は48時間を超えた時間から、祝日などで32時間しかない週は40時間を超えた時間から時間外労働手当が発生します。
③ 対象期間の法定労働時間外労働
労使協定で定めた対象期間の法定労働時間総枠(40時間×対象期間の歴日数÷7日)を超えて労働した時間。(①または②で時間外労働となる時間を除く)。
例えば、対象期間が1年の場合(うるう年を除く)法定労働時間の総枠は約2085時間となります。
よって、①、②以外で2085時間を超えた時間から、時間外手当が発生します。
1年単位の変形労働時間制の期間の途中で新入社員が入ってきた場合の精算
入社時期による労働時間の不公平
例えば、4月から9月は比較的暇だけど、10月から翌年の3月まではかなり忙しい、という事業所があったとします。
そして、その事業所は4月1日を起算日とした1年単位の変形労働時間制を利用して、閑散期は労動時間少なめに、繁忙期は労働時間が多めになるよう変形させています。
このような事業所に新入社員が10月に入社した場合、入社した10月から翌年の3月までずっと繁忙期の中で働くことになります。
不公平の解消のため、時間外手当の精算が必要
1年単位変形労働時間制は1年という長期の期間で所定労働時間が週平均で40時間以内になるよう変形することができる制度です。
しかし、この例の新入社員の場合、閑散期に業務を行っていないこともあり、入社した10月から翌年の3月までの期間の週の労働時間を平均すると40時間を超えることが考えられます。
これは期間の途中で会社を辞める従業員も同様で、繁忙期だけ働いて閑散期に働かずに会社を辞めると、週平均40時間を超えている場合があります。
このような場合、会社は週平均40時間を超えている分について、時間外手当等を支払い精算しないといけません。
例えば、変形期間の途中で入社した労働者の週平均の所定労働時間が42時間あった場合、この2時間分を時間外手当として支払う必要があるわけです。
1年単位の変形労働時間制における時間外手当の精算の具体例
具体的な計算方法は以下のとおり。
精算の際に割増賃金を支払う時間=実労働期間における実労働時間-実労働時間における総労働時間の総枠ー実労働期間における1日8時間(※)及び1週40時間(※)を超える時間外労働
※ 1日8時間、1週40時間を超える時間が定められている日、週においてはその時間
具体例
- 変形期間:4月~翌年の3月まで
- 退職日:11月30日(入社日は4月1日以前)
- 実労働時間:1410時間
- 法定労働時間の総枠=244日÷7日×40時間≒1394.2時間
精算の際に割増賃金を支払う時間=1410時間-1394.2時間=15.8時間
過去にさかのぼって時間外手当の計算をやり直すわけではなく、足りない分の時間外手当を後で支払う仕組みになっている点にご注意ください。
ちなみに、途中入社・途中退社の時間外手当の精算は、1年単位の変形労働時間制の他、フレックスタイム制でも同様に行う必要があります。
一方、1か月単位の変形労働時間制については、法令に定めはないものの、きちんと行っておいた方が問題が少ないのは間違いありません。と考え

