1か月単位の変形労働時間制|制度の仕組み・メリットとデメリットをわかりやすく解説

1か月単位の変形労働時間制は、シフト制の会社や、月内で業務の繁閑がある会社ではよく使われている制度です。

一方で、「残業代が出なくなる制度なのではないか」「長時間労働が認められる制度なのではないか」といった誤解も多く、導入や運用を誤るとトラブルの原因にもなりかねません。

そこで本記事では、1か月単位の変形労働時間制について、制度の基本からメリット・デメリット、向いている会社の特徴など、実務目線で整理して解説します。

この記事でわかること
  • 1か月単位の変形労働時間制の基本的な仕組み
  • メリット・デメリットと実務上の注意点
  • どのような会社に向いている制度なのか
  • 導入にあたって必要となる手続きの概要
目次

1か月単位の変形労働時間制とはこんな制度

1か月単位の変形労働時間制とは、1か月以内の期間の中で、労働時間を平均で週40時間以内とする制度です。

平均で週40時間なので、月曜日から土曜日の6日間、毎日8時間働かせて週48時間になったとしても、他の週の労働時間が短くなっていればOKということ。

そして、48時間に変形したの週に関しては、40時間を超えている8時間の労働時間について、時間外手当を支払う必要はありません。

例:

週A:週48時間
週B:週38時間
週C:週36時間
週D:週38時間

→平均週40時間以内となっているのでOK

1か月単位の変形労働時間制のメリット

1か月の中で業務のメリハリをつけられる

1か月単位の変形労働時間制は、「月始めはそれほどでもないけど、月末は忙しい」などのように、一月の中で繁閑の差がある業種に向いている制度です。

忙しい時期に労働時間を増やす一方で、暇な時の労働時間や労働日数を減らせば、労働者はまとまった余暇を得られますし、会社は残業代の節約ができ、同じ月内で労働時間のメリハリを付けることができるわけです。

繁忙期の残業代の節約

繁忙期として所定労動時間を変形(延長)した期間については、その変形した所定労働時間を超えるまで時間外手当をつける必要はありません。

例えば、繁忙期の労働時間を8時間から9時間とした場合、9時間を超えるまでは時間外手当を付ける必要はなくなります。

例えば、基本となる1日の所定労働時間が8時間の会社で、特定の時期だけこれを9時間に変更している期間に、労働者が実労働時間で10時間の労働をしたとします。この場合、通常の所定労働時間であれば2時間分の時間外手当が発生するところ、1時間の時間外手当で済むことになります。

閑散期の労働時間の節約

通常の労働時間制度では、例え、仕事が無い場合であっても、会社は労働契約上の労動時間働かせ、労働時間に応じた賃金を支払う必要があります。

つまり、労働契約上の労動時間が1日8時間である場合、例え、仕事がなくても、その時間分は何かしらの仕事を行わせ賃金を支払う必要があるわけです。なお、仮に働かせない、休ませる場合も賃金の6割以上の休業手当を支払う必要があります。

しかし、1か月単位の変形労働時間制を活用すれば、こうした閑散期の余った時間を繁忙期に持っていくことで、閑散期の労働者の労働時間を節約することができます。

1日の労働時間に制限がない

年単位の変形労働時間制では、変形させられる範囲は1日10時間、1週52時間までと決まっていますが、1か月単位の変形労働時間制では、このような変形の上限はありません。

1か月単位の変形労働時間制のデメリット

事務側の負担が大きい

1か月単位の変形労働時間制については、1か月ごとに変形する労働日や労働時間を決める必要があります。

その変形の仕方が定型であればいいですが、シフト制のように毎月変わるとなると、事務側の負担が大きくなります。

また、実労働時間の算定や給与計算についても、通常の労働時間制よりも複雑なため、こちらも事務側の負担が大きくなる要因となります。

労働者側の負担

また、1年単位の変形労働時間制の場合、働き方が不規則になりやすいため、労働者の健康面での負担が大きくなる場合があります。

1か月単位の変形労働時間制はこんな会社におすすめ

シフト制の会社

シフト制自体は、通常の労働時間制でも導入できます。

しかし、その場合、1日や1週間の労働時間を法定労働時間内に収める必要があり、シフト制の自由度が下がってしまいます。

それもあり、シフト制を敷く場合、1か月単位の変形労働時間制を導入する会社は多くなっています。

一月のあいだで業務の繁閑の差が大きい会社

1か月単位の変形労働時間制が最も想定しているのは「一月のあいだで業務の繁閑」が大きい場合です。

例えば、弊所のような社労士業務の場合、同じ月内で繁閑の差があります。

というのも、給与計算をしている企業の給与の支払が20日締めの末払いなど、月末に集中しているからです。そうなると、どうしても、月末に業務が偏るからです。逆に月始めなどそれ以外の時期はそうでもなかったりするので、1か月の変形労働時間制が向いている業種の1つといえます。

例:月末に忙しくそれ以外は労働時間に余裕のある会社

A1 月末の第4週だけ労働時間を8時間から10時間にし、その代わり、第1週の労働時間は6時間とする。

A2 通常は土日休みだが、月末の第4土曜日だけは出勤とし、その代わり第1金曜は休日とする

労働日よりも労働時間を変形させたい会社

日によって所定労働時間は変えず、土曜日や国民の休日も働かせたい、という場合でも、1カ月単位の変形労働時間制を使えますが、そういった用途であれば1年単位の変形労働時間制のほうがおすすめです。お盆や正月とも調整できるからです。

1カ月単位の変形労働時間制でより向いているのは、1日の労動時間を変形させる場合です。

月曜は6時間でいいいけど、金曜は10時間働いてほしい、という場合、1年単位で前もって決めるのは大変ですが、1カ月単位で1カ月前に決めておくのは、1年単位ほどの負担にはならないと思われるからです。

そのため、所定労働時間を業務の都合で変形させるのであれば、1年単位よりも1カ月単位のほうがオススメです。

1か月単位の変形労働時間制の導入方法

1か月単位の変形労働時間制の導入に当たっては就業規則の改定もしくは労使協定の締結が必要になります。

詳しくは以下の記事をご覧ください。

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1か月位の変形労働時間制は導入して終わりというのものではありません。法律に沿った運用が必要です。

特に時間外労働と割増賃金については間違えやすい部分となります。

それらの詳細については以下の記事で解説していますので、こちらをご覧いただければと思います。

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この記事を書いた人

名古屋の社労士事務所、社会保険労務士川嶋事務所の代表。
「会社の成長にとって、社員の幸せが正義」をモットーに、就業規則で会社の土台を作り、人事制度で会社を元気にしていく、社労士兼コンサルタント。
就業規則作成のスペシャリストとして、名古屋市内・近郊の中小企業をサポートする一方で、共著・改訂版含めて8冊の著書、新聞や専門誌などでの寄稿実績100件以上あり。

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