「復職させようと思っているけど原職復帰は難しい」「休職期間を満了したけど復職できない」「せっかく復職したのに再度休職が必要になった」など、休職から復職する際というのは労使間で何かと問題が起きやすいタイミングです。
そのため、こうしたトラブルを未然に防ぐ、あるいはトラブルが起こった際になるべく穏便に済ませるためにも、この記事では就業規則の「復職」の条文作成のポイントと規定例について解説していきます。
「復職」条文の必要性
休職から復帰する際のルールを定めた条文です。
そのため、休職規定を設ける場合、こちらの規定も必須となります。
「復職」条文作成のポイント
問題が起こりやすいのはやはり私傷病休職
休職規定全般にいえることですが、この復職規定でも、やはり主に考えないといけないのは私傷病からの復職となります。
他の事由からの復職の場合、復職の際に休職事由が消滅しているのが普通です。
しかし、私傷病休職からの復職の場合、復職の際に休職事由が消滅していない、つまり、休職のきっかけとなった私傷病が治癒していない場合や、復職後しばらくして再発等により再び休職してしまうといったこともありえます。
そのため、復職規定では特に、こうした私傷病に関する復職について、労使間でもめ事とならないよう、あらかじめルール決めすることが求められます。
原則は原職復帰?
厚生労働省が公表している手引きでは、メンタルヘルス不調による休職からの復帰については「原職」での復帰が原則とされています。
これは、メンタルヘルス不調からの復帰直後の職場が変わると、そのストレスにより不調が再発するおそれがあるからです。
とはいえ、どうしても原職復帰が難しいという場合もあります。
しかし、就業規則に「原職復帰」とはっきり書いてしまうと、それを理由に労働者側から原職以外の復帰は就業規則に違反している、といわれてしまう可能性もあります。
こうしたことを避けるためには、規定の変更例のように、あえて「原職復帰」のことは明言しないという方法もあります。
ただし、就業規則の規定に「原職復帰」を明言しない場合も、メンタルヘルス不調による休職からの復帰の原則が「原職」であることを念頭に運用を行う必要があります。
規定の変更例
原則復帰を運用により行う場合
第○条(復職)
- 会社は、第13条の報告その他の事情を踏まえ、休職事由が消滅したと判断できた場合、速やかに従業員に復職を命じる。
- 第△条■項1号および2号の休職(※)における前項の復職の判断は、休職原因となった私傷病が治癒しているかを基準とする。
- 復職の際、復帰させる職務は、業務の都合もしくはまたは従業員の労務の提供能力により決定する。
- 休職期間を満了しても復職できない場合、休職期間満了日をもって自然退職とする。
- 第△条■項1号および2号の休職(※)から復職した者が出勤後6か月以内に同一または類似の事由により再び休職を要するに至った場合、復職を取り消し、直ちに休職させる。
- 前項の休職期間の最大は復職前の休職の残期間とし、残期間が30日未満の場合は30日とする。
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