公民権行使の時間とは?対象となる行為・会社が拒否できない理由を解説

公民権行使の時間とは、選挙や住民投票など、労働者が公民としての権利を行使するために必要な時間をいいます。

公民権行使の時間については、制度の内容を正しく理解していないと、「認める必要のないものを認めてしまう」「逆に、認めるべきものを拒否してしまう」といったリスクがあります。

この記事では、公民権行使の時間に該当する行為や公の職務の範囲、実務上の注意点について解説します。

この記事でわかること
  • 公民権行使の時間の法的根拠と制度の位置づけ
  • 公民権行使の時間に含まれる行為・含まれない行為
  • 「公の職務」に該当する具体例
  • 会社が取得を拒否できない理由と、時刻変更が認められる範囲
目次

公民権行使の時間とは

公民権行使の時間とは、選挙や住民投票などの公民(国家または公共団体の公務に参加する資格のある国民)として権利を行使する時間をいいます。

この公民権行使の時間について、労働基準法第7条では「公民権行使の保障」として、これを行うのに必要な時間について労働者が請求してきた場合、会社はこれを拒むことができないとされています。

この労働基準法第7条では「公民権行使」だけでなく、「公の職務」に就く時間についても同様に、これを行うのに必要な時間について労働者が請求してきた場合、会社はこれを拒むことができないとされています。

法令から見た「公民権行使の時間」のポイント

公民権行使の時間に含まれるもの

公民としての権利に該当するもの

労働基準法で労働者に保障されている公民としての権行には以下のものが挙げられます。

  1. 公職の選挙権および被選挙権
  2. 最高裁判所裁判官の国民審査
  3. 特別法の住民投票
  4. 憲法改正の国民投票
  5. 地方自治法による住民投票
  6. 選挙権および住民としての直接請求権の行使等の要件となる選挙人名簿の登録の申出 等

いずれも日曜日などの休日に行われることが多いので、公民権行使が会社で問題になることは少ないですが、日曜日に仕事を行う業種については注意しておいた方が良いでしょう。

公民としての権利に該当しないもの

一方で、公民の権利として勘違いしがちなものとして、以下のようなものがありますが、これらは公民としての権利には該当しません。

  1. 他の候補者のための選挙運動
  2. 訴権の行使一般 等

訴権を行使している時間は公民権行使の時間か

上でも触れているように、訴権の行使(裁判所に対し訴えを提起して紛争の解決を求め得る権利)の時間は、基本的に、公民としての権利に該当しません。

一方で、以下の一部の訴権については公民権行使として扱います。

  1. 行政事件訴訟法に規定されている民衆訴訟や
  2. 公職選挙法に規定されている選挙人名簿に関する訴訟、
  3. 公職選挙法に規定されている選挙または当選に関する訴訟

公の職務に含まれるもの

公の職務に含まれるもの

一方、公の職務に含まれるものは以下の通りです。

① 国または地方公共団体の公務に民意を反映してその適性を図る職務

  • 衆議院議員その他の議員
  • 労働委員会の委員
  • 陪審員
  • 検察審査員
  • 労働審査員
  • 裁判員
  • 法令に基づいて設置される審議会の委員 等

② 国または地方公共団体の公務の公正妥当な執行を図る職務

  • 民事訴訟法第190条における証人
  • 労働委員会の証人 等

③ 地方公共団体の公務の適正な執行を監視するための職務

  • 投票立会人 等

公の職務に含まれないもの

一方で、公の職務として勘違いしがちなものとして、以下のようなものがありますが、これらは公の職務には該当しません。

  1. 予備自衛官の防衛招集および訓練招集
  2. 非常勤の消防団員の訓練招集

運用面から見た「公民権行使の時間」の注意点

会社は取得を拒否できないが、時刻を変更できる場合はある

公民権の行使や公の職務に就くため、それに必要な時間を労働者から請求された場合、会社はそれを拒むことはできません。

しかし、公民権行使や公の職務の執行の妨げにならない範囲であれば、請求された時刻や日時を変更することは問題ありません。

就業規則への記載方法

公民権行使の時間については、就業規則への記載が必須となっています。

公民権行使の時間の規定例については、以下の記事を参考にしていたければと思います。

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