労働基準法では、労働者の公的活動を保障しています。
そのため、選挙権などの公民としての権利を行使する時間や、裁判員などの公の職務を行う時間については、労働者がこれらに必要な時間を請求してきた場合、それを与える義務を会社に課しています。
就業規則の規定としてはあまり見るべきポイントはありませんが、規定自体は必ず必要となるので、本記事で確認してみると良いでしょう。
- 公民権行使の時間を就業規則に定める必要性
- 条文作成において会社がアレンジできる範囲とできない範囲
- 裁判員制度について別条文を設ける必要があるかどうか
- 公民権行使の時間を無給・有給とする場合の考え方
- 公民権行使の時間に関する就業規則の規定例と変更例
法律・労務管理から見た「公民権行使の時間」
この記事は、公民権行使の時間と就業規則の規定について書かれたものです。
法律や労務管理の運用から見た公民権行使の時間について、以下の記事で詳しく解説を行っているのでこちらをどうぞ。

「公民権行使の時間」条文の必要性
公民権行使の時間中は実質的な休暇(もしくは休職)に当たると考えられます。
休暇は就業規則の絶対的必要記載事項であるので、就業規則への記載は必須と考えられますが、厚生労働省のモデル就業規則のように記載のない規定例もあり、万が一なくてもそれを持って法令違反となる可能性は低いとみられます。
一方で、労務管理上のことを考えると、公民権行使の時間が有給か無給かをはっきりさせておきたいので、やはり就業規則に規定を定めることは必須と考えられます。
「公民権行使の時間」条文作成のポイント
基本的には法律通りに
法令を下回る制度設計はできないため、公民権行使の時間の条件を法定よりもよくする以外、「公民権行使の時間」に関する就業規則の規定については、会社がアレンジできる余地はありません。
そのため、基本的には法律通りの内容を就業規則に定めることになるかと思います。
裁判員制度中の休暇の条文は分けて作成すべき?
就業規則の規定例の中には、公民権行使の時間とは別に裁判員制度中の休暇について定めているものもあります。厚生労働省のモデル就業規則がその典型ですが
ただ、すでに述べたとおり、裁判員として働いている時間というのは公の職務に就いている時間なので「公民権行使の時間」に関する条文があればそれで足ります。
実際、この記事の最後に挙げている規定例では、公民権行使の時間の条文に裁判員制度のことを含めているので、裁判員制度で別途条文を作成するということはしていません。
では、なぜ裁判員制度だけ特別扱いする規定例があるのでしょうか。
強いていえば、裁判員制度の周知であったり、その流れを把握しておき、いざというときのために慌てないためかと思われますが、労使ともにめったにない出来事ではあるので、わざわざ条文を一つ増やしてまで行うべきかは、会社によって考えが変わってくるのではないでしょうか。
公民権行使の時間は有給? 無給?
公民権を行使している時間や、公の職務に就いている時間の給与については法律上定めはなく、そのため、ノーワーク・ノーペイの原則により、無給で問題ありません。
もちろん、会社の裁量で有給とすることも可能ですが、公民権行使の時間はともかく、公の職務に就いている時間については、その職務の方から何かしらの報酬が出ているはずです。
そのため、本当に給与の支給が必要かどうかは検討すべきでしょう。
就業規則「公民権行使の時間」の規定
第○条(公民権行使の時間)
1 従業員が、選挙、裁判員その他の公民権の行使に必要な時間または公の職務に就くために必要な時間を請求したときは、その時間の労働を免除する。
2 前項にかかわらず、会社はその公務の参加に支障のない範囲で、請求された時刻を変更することがある。
3 1項の労働を免除した時間は無給とする
規定の変更例
公民権行使の時間を有給とする場合
第○条(公民権行使の時間)
1 従業員が、選挙、裁判員その他の公民権の行使に必要な時間または公の職務に就くために必要な時間を請求したときは、その時間の労働を免除する。
2 前項にかかわらず、会社はその公務の参加に支障のない範囲で、請求された時刻を変更することがある。
3 1項の労働を免除した時間は有給とし、支払う額は所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金とする。
参考:厚生労働省モデル就業規則の「裁判員等のための休暇」条文
(裁判員等のための休暇)
第32条 労働者が裁判員若しくは補充裁判員となった場合又は裁判員候補者となった場合には、次のとおり休暇を与える。
① 裁判員又は補充裁判員となった場合 必要な日数
② 裁判員候補者となった場合 必要な時間
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