就業規則における休憩時間は、単に休憩の時刻を定めて終わり、ということも多いですが、会社によっては詳しく定めた方がいい場合もあります。
そのため、ここでは規定例の紹介や規定を定める際に注意すべき点を解説します。
法律・労務管理から見た休憩時間
法律や労務管理の運用から見た休憩時間については、以下の記事にて詳しく解説を行っています。

「休憩時間」条文の必要性
休憩は就業規則の絶対的記載事項に当たります。
そのため、休憩に関する規定は、就業規則を作成する際、必ず必要となります。
「休憩時間」条文作成のポイント
休憩時間は基本的に「1時間以上」定める
所定労働時間が1日8時間でも「45分」としない理由
労働基準法で定められている法定労働時間は原則「1日8時間、1週40時間」です。
そして、会社の所定労働時間は、法定労働時間内で定める必要があります。
つまり、所定労働時間は必ず8時間以内となるのだから、休憩時間は「45分」でもいいように思えます。
しかし、古今東西、多くの労働契約、就業規則を見ても、ほとんどの場合は「1時間以上」の休憩時間を定めているのはなぜかというと、時間外労働によって8時間を超える可能性があるからです。
時間外労働の際に追加で休憩時間が必要に
法定の休憩時間を決める1日の労働時間というのは、労働契約や就業規則上の労働時間ではなく「実労働時間」で見ます。
そして、この「実労働時間」には、時間外労働をした場合は、その時間数も含めます。つまり、所定労働時間が8時間の場合、1分でも時間外労働をしたら実労働時間は「8時間を越える」ことになってしまうわけです。
このような場合、会社はその労働者に「1時間以上」の休憩時間を与えないと労働基準法違法となってしまいますが、所定の休憩時間を45分としていると、別途15分以上の休憩を労働者に与えるという手間が発生してしまいます。また、場合によっては、与え忘れるということも起こります。
こうしたことから「6時間超え8時間以内」の所定労働時間を定める場合でも、休憩を「1時間以上」とするのが一般的となっているわけです。
休憩の自由利用を条文として定めるか
就業規則の規定例の中には、休憩条文として、休憩の自由利用や休憩中のルールなどを定めるものもあります。
ただ、休憩の自由利用については、就業規則に記載があるかどうかにかかわらず、労働者に保障されているものです。よって、規定のありなしによって、その効果が変わるわけではありません。実際、厚生労働省のモデル就業規則にも定めはありません。
ただ、休憩のルールを労働者にきちんと周知したい、自由といっても一定の制限があることを定めておきたい、という場合は規定を定めることを検討しても良いかもしれません。
過去に休憩時間に関してトラブルがあった場合などはむしろ定めた方が良いでしょう。
就業規則「休憩」の規定例
※ 以下は、就業規則の「労働時間(始業・終業時刻)」条文の作成のポイントと規定例、で紹介している規定例と同じものとなります。
第○条(労働時間および休憩時間)
- 1日の所定労働時間は、休憩時間を除き、実働8時間とする。
- 始業・終業時刻および休憩時間は、次の通りとする。
始業時刻 午前 9時 00分 終業時刻 午後 6時 00分 休憩時間 正午 から午後 1時 00分まで - 業務の都合その他やむを得ない事情により、前項の始業・終業時刻および休憩時間を繰り上げまたは繰り下げることがある。
規定の変更例
一斉休憩の例外を定める場合
第○条(労働時間および休憩時間)
- 1日の所定労働時間は、休憩時間を除き、実働8時間とする。
- 始業・終業時刻および休憩時間は、次の通りとする。
始業時刻 午前 9時 00分 終業時刻 午後 6時 00分 休憩時間 正午 から午後 1時 00分まで - 業務の都合その他やむを得ない事情により、前項の始業・終業時刻および休憩時間を繰り上げまたは繰り下げることがある。
- 会社は、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定を締結する場合、休憩を一斉に付与しないことがある。この場合の休憩時間については、所属長の指示によるものとする。
休憩の自由利用を条文として定める場合
(以下の規定を追加)
第△条(休憩の自由利用)
従業員は休憩時間を理由に利用することができる。ただし、職場の秩序を乱すような行為その他服務規律に反する行為を行ってはならない。
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