「社労士になるには」(社労士のすべてがわかる?四コマ 第二話)

社労士のすべてがわかる?四コマ第2話「社労士になるには」。試験に受かれば社労士になれる? 実際はそんなことはなく実務経験やお金が別で必要となります

 

試験に受かるだけではダメ

社労士と名乗るには名簿への登録が必要

社労士のすべてがわかる?四コマの2話目です。

士業の資格取得に関して意外と知られていないのが「登録」のこと。

試験に受かればすぐに社労士やその他士業になれると思っている人も多いようですが、ほとんどの場合、しかるところに登録しないと、その士業名を名乗ることすらできません(試験は受かってるけど登録はしてない人たちは、自身を「有資格者」と自称することが多いようです、これは結構ギリギリのライン)。

 

登録にはお金がかかる

で、この登録がタダでできるかというとそうは問屋が卸しません。登録手数料や登録免許税がかかります。

そして、そもそも登録には各都道府県の社労士会に所属しなければならず、この会に所属するため年会費や入会金がかかります。

士業の登録にかかる年会費や入会金については以前、ブログでネタにしているのでそちらもご覧いただければと思います。

以下の記事を読んでもらえばわかりますが、他と比較すると社労士は安い方ではありますね。

 

実務経験も必要

社労士登録の実務経験として認められる業務

このように、士業として活動するには「登録とそれに伴う出費がかかる」というのは割とどの士業も共通です。

その一方で、登録の際に実務経験を要求する士業というのは実はかなり珍しい部類に入ります(というか、他に必要としているのは公認会計士くらい。)。

登録の際に実務経験と認められるには、下記のような業務に2年以上の従事した経験が必要となります。

【労働社会保険諸法令関係事務の具体例】
・雇用保険、健康保険、厚生年金保険の被保険者資格取得・喪失届に関する事務
・健康保険、厚生年金保険の被保険者報酬月額算定基礎届・月額変更届に関する事務
・雇用保険被保険者離職証明書の作成
・労働保険の概算・確定保険料の申告・納付に関する事務
・就業規則(変更)届に関する事務
・時間外労働・休日労働に関する協定届の作成
・労働者名簿の調製

 

上記の業務一覧を確認してもらうとわかりますが、社労士事務所で行うことの多い給与計算事務は、労働社会保険諸法令関係事務に該当しないので注意が必要です。。

また、休職期間は実務経験の期間には含まれません。

 

証明書を書いてもらう必要あり

では、上記のような業務に就いていたことをどのように証明するかというと、その業務を行っていた当時の勤務先の事業主に証明書を書いてもらう必要があります。

ただし、当時働いていた事業所が倒産してしまっている場合は当時の事業主または役員、上司もしくは同僚2名以上に証明書を書いてもらうことになります。

その他、事業所が倒産ではなく合併したのでない、という場合は、合併後の事業主に証明書を書いてもらう必要があります。

 

社労士試験の実務経験

実務経験つながりでちょっと余談。

社労士試験はその試験資格に「一定の学歴」が定められています(これもいまどき結構珍しい)が、そうした学歴に満たない場合や、他で試験資格を満たせない場合、「実務経験」で試験を受けることもできます。

実務経験とできるのは以下のような業務に就いていた場合で、証明が必要なのは登録時と同様。ただし、社労士試験で実務経験を試験資格とする場合は実務経験が「3年以上」必要となります。

  • 健康保険組合、労働保険事務組合等の役員又は従業員
  • 公務員等
  • 社会保険労務士事務所、弁護士事務所等の補助者
  • 労働組合の専従役員、又は法人等の労務担当役員
  • その他、法人等の従業者

 

社労士になるのなら確実に来る未来に覚悟を

最後のオチはまあ、コマの内容通りなので、特に語ることはないかな、といった感じです。

ただ、一つだけ言えるのは、もし社労士になるのであれば、こうした社労士に確実に訪れる未来に対して覚悟を持たねばならない、ということです。

今週はここまでです。来週もお楽しみに。

 

 

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士川嶋事務所の代表。「いい会社」を作るためのコンサルティングファーム「TNC」のメンバー。行動経済学会(幽霊)会員 社労士だった叔父の病気を機に猛勉強して社労士に。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 著書に「「働き方改革法」の実務」「定年後再雇用者の同一労働同一賃金と70歳雇用等への対応実務」「就業規則作成・書換のテクニック」(いずれも日本法令)のほか、「ビジネスガイド」「企業実務」などメディアでの執筆実績多数。

2019年5月29日