就業規則作成

内規と就業規則の違い

2015年10月14日

似て非なる内規と就業規則

内規に法的拘束力はない

就業規則と内規の違いとは何でしょうか。

簡単に言うと、就業規則には法的拘束力がありますが、内規にはそれがありません。

その意味では、法律とモラルの違いに近いものがあります。法律には国民を拘束する力がありますが、モラルにはありませんからね。

そのため、内規でいくら会社の規則を定めても、法律的には労働者がそれに従う義務はありません。

 

内規が就業規則扱いとされる場合

ただ、実務上の内規の多くが、就業規則の条文を運用していくにあたっての解釈や細則になっているかと思われます。

その場合、内規といえど就業規則として扱われることもあります。特に就業規則の効力発生の要件である「労働者に対する周知」がなされている場合はその可能性が高まります。

単なる内規と思っていたものが就業規則扱いされると、変更等が面倒になったりします。

逆に、マイカー通勤や社用車使用での事故防止、あるいは近年問題となっているTwitterやFacebook等のSNSを使った社員の問題発言・問題行動の防止に関して内規や随時的な業務命令での対応してきたのであれば、思い切って就業規則の諸手当としてしまっても良いかもしれません。

例えば社員の誰かがSNS上で問題発言をして会社の名誉を著しく傷つけたとします。その場合に内規扱いだと減給や解雇といった懲戒処分を下せるかといえば難しい。懲戒処分は、就業規則に定めのない事項に関して行うことはできないからです。しかし、マイカー規定やSNS規定をきちんと就業規則化しておけばこのような場合でもきちんと懲戒処分を行うことができます。

 

それは就業規則で対応すべき問題なのか? それとも内規で十分なのか?

そのため、今後の内規および就業規則の作成・改定をお考えの場合、内規で対応したほうがいい問題なのか、就業規則できちんと対応した方がいい問題なのかをあらじめ分けて置く必要があるでしょう。

最後に、就業規則を運用する上で気をつけなければいけないのは、法律が国民だけでなく国を拘束することがあるように、就業規則が労働者だけでなく会社も拘束する(=守る必要がある)ことです。会社が守らない就業規則が会社を守ってくれることはありません。

 

内規として定められる主なもの

内規として定められる主な規定としては、就業規則等に定めた各種手続きの詳細、昇格・降格人事の基準、昇給・降給など細かい賃金の決定基準などがあります。

内規として扱う基準としては、就業規則に定めるには内容として細かすぎて、就業規則に定めると運用上足回りが悪くなるもの、労働者に周知する必要がないものを内規として扱います。

 

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  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士川嶋事務所の代表。「いい会社」を作るためのコンサルティングファーム「TNC」のメンバー。行動経済学会(幽霊)会員 社労士だった叔父の病気を機に猛勉強して社労士に。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 3冊の著書のほか「ビジネスガイド」「企業実務」などメディアでの執筆実績多数。

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