「社労士は会社側?」(社労士のすべてがわかる?四コマ 第九話)

社労士は労使間で中立の立場、だけれども・・・

中立であることは倫理綱領で明記

社会保険労務士の倫理綱領でも「社会保険労務士は、品位を保持し、信用を重んじ、中立公正を旨とし、良心と強い責任感のもとに誠実に職務を遂行しなければならない。」とあります。

なので、社労士は会社側、とよく言われますが、これは間違い、

・・・と断言しづらいのが、なんとも歯がゆかったりします。

 

社労士の主な商売相手は経営者

というのも、社労士が売ることのできる商品を見たときに、労働者側に売れるものはほとんどなく、そのほとんどが会社側の人に需要のある商品です。

就業規則の作成やその他規則の整備、労働保険や社会保険の手続きの代行などのサービスは、労働者がお金を払って買うことはまずありません。

加えて、労働者に関する業務は、監督署や労働者側の弁護士、労働組合・ユニオンなどと競合関係にあり、結果、社労士が労働者側の人に選ばれないということが起こります。

 

経営者側のように見える理由は客層の問題

要するに、社労士というのは、会社側には一定の需要がある一方で、労働者側にはあまりないけど、立場的には中立でいないといけない、というなんともバランス感覚の難しいところに置かれているわけです。

ただ、そのバランスがあまりに歪むと「労働者をうつ病にして辞めさせろ」なんて言う人が出てくるので、「中立である」という意識は重要だと思っており、わたし自身もそういう歪みに取り込まれないよう「友好な労使関係が会社を元気にする」という信念を持って、社労士業務を行っています。

 

 

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士川嶋事務所の代表。「いい会社」を作るためのコンサルティングファーム「TNC」のメンバー。行動経済学会(幽霊)会員 社労士だった叔父の病気を機に猛勉強して社労士に。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 著書に「「働き方改革法」の実務」「定年後再雇用者の同一労働同一賃金と70歳雇用等への対応実務」「就業規則作成・書換のテクニック」(いずれも日本法令)のほか、「ビジネスガイド」「企業実務」などメディアでの執筆実績多数。

2019年7月23日