Q9 うるう年の場合、1年単位の変形労働時間制で気をつけることはありますか?
この記事の目次
A9 1年の総労働時間が変わるため、残業代の単価が変える必要があります
総労働時間の枠が増える
1年単位の変形労働時間制の場合、総労働時間は以下の計算式のように、歴日数で見ます。
- 40(週の法定労働時間)×変形期間の歴日数÷7
よって、うるう年でない通常の年は
- 40×365÷7≒2085(時間)
が、1年の総労働時間となります。労働時間を変形させる場合はこの2085時間の枠に収まるよう変形ささせる必要があります。
一方のうるう年の場合、
- 40×366÷7≒2091(時間)
となり、6時間ほど総労働時間の枠が増えます。
残業代の単価が変わる
これは1年単位の変形労働時間制に限りませんが、うるう年の場合、歴日数が増えるので残業単価が変わります。
残業単価はを時給に直して求めるため、例えば、月給制の場合、以下の式のように、
- 固定的賃金÷月の所定労働時間
給与(固定的賃金のみ)を月の所定労働時間で割る必要があります。
問題となるのが月の所定労働時間ですが、休日などの関係で月ごとに所定労働日数が変わるため、月によってバラつきがあるのが普通です。
そのため、月の所定労働時間は「年間平均の 1 カ月あたり所定労働時間数」で求めます。
つまり、年間の総労働時間が2076時間の場合、
- 2076÷12=173(時間)
が、月の所定労働時間となります。
うるう年の場合、1日分労働日数が増えるので、年間の総労働時間が増える可能性が高くなります。
ただし、年間の総労働時間が増えた場合、月の所定労働時間も増え、結果、給与や労働時間が同じなら残業単価は下がので、うるう年以外の月を基準にうるう年も時間外手当を支払っている場合、賃金未払いの心配はほぼありません。
一方、うるう年はうるう年で残業単価をきちんと調整する、という会社は、うるう年とうるう年以外で残業単価の計算を間違えないよう気をつけないといけません。
労働日数
1年単位の変形労働時間制では、1年あたりの所定労働日数の限度を280日と定めています。
うるう年の場合もこの定めに変更はないので、1日の所定労働時間が短めだけど、多くの日数働かせる、という労働条件の会社は注意が必要です。
2019/12/06