フレックスタイム制の導入方法
この記事の目次
導入の流れ
① 就業規則の整備
↓
② 労使協定の締結
↓
③ 変更した就業規則を労働基準監督署に提出(1か月を超える清算期間を定めた場合は労使協定も提出)
就業規則等の整備
フレックスタイム制を導入するには、就業規則(労働者が10人未満の場合は、それに準ずるもの)に、「始業時刻と終業時刻の両方を労働者にゆだねる旨」を記載する必要があります。
参照:東京労働局
上の東京労働局が出しているモデル規則の赤線以外の部分は、基本的には次に説明する労使協定で定めることで足りる項目ですが、就業規則に記載しておいて損のある内容ではありません。
労使協定の締結
フレックスタイム制では、就業規則等への規定の他、労使協定を結ぶ必要があります。
労使協定には、以下の項目を定める必要があります。
- 対象となる労働者の範囲
- 清算期間
- 清算期間における起算日
- 清算期間における総労働時間
- 標準となる1日の労働時間
- (コアタイム)
- (フレキシブルタイム)
清算期間を「1か月を超える期間」定める場合
・有効期間
① 対象となる労働者の範囲
誰にフレックスタイム制を適用するかを定めます。
必ずしも全社員に適用する必要はありません
同じ会社内でも、SEのように1日のうちいつ仕事してもいいような業種にだけ適用して、外回りの営業のように早朝や夜中にするわけにはいかない仕事には適用しないということができます。
② 清算期間
フレックスタイム制を適用する期間のことです。
労働者は、清算期間内に、後述する「清算期間における総労働時間」の時間数、働くことになります。
以前は、清算期間は「1ヶ月以内」でしか定めることができませんでしたが、2019年4月1日より「3ヵ月以内」の期間で定めることができるようになりました。
ただし、清算期間について「1か月を超える期間」を定める場合は
③ 清算期間における総労働時間
フレックスタイムのの清算期間の中で、労働者が「これだけは必ず働かないといけない労動時間」のことです。
いわば、フレックスタイム制における所定労働時間です。
一方、清算期間における総労働時間は、法定労働時間の中で収まっている必要があります。
この法定労働時間のことを、フレックスタイム制では法定労働時間の総枠といい、求め方は以下の通りとなります。
例えば、歴日数が31日の月の場合、177.14時間が法定の総労働時間の最大となります。
この例で、フレックスタイム制で清算期間における総労働時間を定める際は、177.14時間以下にしないといけません。
法定労働時間の総枠≧清算期間における総労働時間
※ 業種やその規模によっては44時間。ただし、1か月を超える清算期間を定める場合は業種や規模にかかわらず40時間。
④ 標準となる1日の労動時間
年次有給休暇を取得した際に支払われる賃金の算定基礎となる労働時間となります。
フレックスタイム制の中で、労働者は最低限この時間は働かなければいけない、という労働時間ではないので注意が必要です。
年次有給休暇の賃金の算定に使われるものなので、この時間を極端に短くすれば、有給分の給与をケチれることになりますが、清算期間とあまりにかけ離れた労動時間を定めるのは、当然マズイです。
⑤ コアタイムとフレキシブルタイム
コアタイムとは、この時間だけは必ず出社していないといけない、という時間です。
一方のフレキシブルタイムは、この時間からこの時間のあいだで始業・終業時刻を決定してくださいというもの。
どちらも、必ずしも定める必要はありませんが、これらがないと労働者の意思で深夜業も可能となるため、なるべく定めておいたほうが良いでしょう。
ただし、コアタイムがあまりに長い、あるいはフレキシブルタイムがあまりに短いのは制度の趣旨に反するため望ましくありません。
⑥ 有効期間
1か月を超える期間の清算期間を定める場合、労使協定に有効期間を定める必要があります。
参照:東京労働局
労使協定の提出義務
フレックスタイム制の労使協定については清算期間が1ヵ月以内の場合は労使協定等を監督署に提出する必要はありません、
一方、清算期間が1か月を超える場合は労使協定を監督署に提出する義務が発生します。
変更した就業規則を労働基準監督署に提出
フレックスタイム制を初めて導入する場合、就業規則の変更が行われるはずなので、変更した就業規則を監督署に提出する必要があります。
詳しい方法はこちらから。
2019/11/22