名古屋で就業規則作成するなら社会保険労務士川嶋事務所

名古屋市営地下鉄名城線、西高蔵駅から北へ徒歩3分、国道19号線沿いの社労士事務所です

公開日: 更新日:
HOME > ブログ > 就業規則 >

代休とは:振替休日との違いや未払い賃金、就業規則の規定を解説

代休とは

代休とは、休日労働をさせた「後に」代わりの休日を与える制度

代休とは、休日に労働を行わせた後に、後日、代わりの休日を他の労働日に与えるという制度です。

例えば、完全週休2日制の会社で、12月の第1週の土曜日に休日出勤させた際に、土曜日に取れなかった代わりの休みを次の週の水曜日に与える場合がこれに当たります。

 

代休を取得させるかどうかは任意

代休を与えることは会社の義務ではありません。

よって、代休制度を設けるかどうか、代休をどういった制度にするかについては、法律に違反しない限り会社の裁量となります。

代休を取得させる場合、就業規則にその定めが必要です。

 

代休と時間外・休日労働手当

繰り返しになりますが、代休は、休日労働を行った後に、代わりの休日を与える制度です。

よって、代休が発生する場合は、必ずその前に休日労働を行っていることになります。

労働者に休日労働を行わせた場合、それが所定休日労働であれば時間外手当(所定休日労働によって、週の労働時間が法定労働時間を超えない場合は除く)を、法定休日労働であれば休日手当を支払う必要があります。

この時間外手当もしくは休日手当の支払義務は、労働者に代休を取得させたとしても免除されることはありません。

 

代休と振替休日との違い

休日労働を行う「前に」振り替えるのが振替休日

代休とよく似た制度に振替休日というものがあります。

しかし、両者は全く違う制度なので区別する必要があります。

振替休日は実際に休日労働を行う前に、休日と労働日を振り替えるものをいいます。

すでに述べたように、代休は休日労働を行った後に代わりの休日を取らせる制度なので、振り替えるタイミングが、休日労働の事前か事後という違いがこの2つにはあります。

 

代休同様、振替休日を行うかどうかも任意

代休同様、振替休日も、これを行うかは任意です。

また、振替休日を行う場合も、就業規則にその定めを行う必要があります。

 

振替休日と時間外手当・休日手当との関係

時間外・休日労働手当について、振替休日と代休では大きく異なる点があります。

振替休日の場合、所定休日と労働日を振り替えたときに、その週の1週間の労働時間が法定労働時間を超えない場合、もともと所定休日だった日に労働をさせたとしても時間外手当は発生しません。

また、法定休日と労働日を振り替えて、もともと法定休日だった日に労働させたとしても法定休日手当は発生しません。

例えば、以下の例の場合、第一週の日曜日を労働日に振り替えたことで、第1週の労働時間が増えているものの、週40時間以内の枠に収まるので時間外手当は発生しません。振替後の日曜日は法定休日という扱いではもうないので(ここでの法定休日は振り返られた第2週の火曜日と第2週の日曜日)、休日労働手当も発生しません。

振替休日の例

 

一方で、法定休日と労働日を振り替えた結果、その週の1週間の労働時間が法定労働時間を超える場合は時間外手当が発生します(上記の例でいうと、水曜日が祝日でない場合にこのようなことが起こりえます)。

 

代休と振替休日での半日単位・時間単位の取得の扱い

代休は法定・所定問わず可能

代休については、終業規則上の定めがあれば半日単位・時間単位での取得は可能です。

代休に関しては法律上の制限がなく、与えること自体も義務ではないので、その制度設計は会社に委ねられているためです。

 

振替休日は所定休日を振り替える場合のみ可能

一方の振替休日については、所定休日を振り替える場合は可能、法定休日を振り替える場合は不可能となっています。

なぜなら、法定休日というのは原則として1暦日、つまり、午前0時から午後24時までの24時間を指すからです。

よって、振り替えられた後の休日が半日や時間単位では休日と認められません。

一方、所定休日については1暦日という縛りはないので、半日単位や時間単位の取得も可能となっています。

 

代休と振替休日の違いまとめ

代休と振替休日の違いをまとめると以下のようになります。

代休 振替休日
  • 休日労働をした後に代わりの休日を取らせる
  • どのような場合でも時間外・休日手当が発生する
  • 半日単位・時間単位での取得が可能
  • 休日労働をする前に、事前に労働日と休日を振り替える
  • 振替方によっては時間外・休日手当が発生しない
  • 半日単位・時間単位での取得は所定休日は可能、法定休日は不可

 

振替休日よりも代休の方が使われる理由

振替休日の方が時間外・休日手当が発生しない可能性があるので、会社からすると振替休日の方がお得に見えるかもしれません。

しかし、実際には、「事前に」労働日と休日を振り替えるというのが、なかなかにハードルが高く、それほど利用されているわけではありません。

休日労働をしないといけないかどうか、といのは、基本的には休日労働を行う直前までわからないことが多いですからね。

一方、代休の場合は、実際に休日労働を行った後に、代わりの休日を設けるわけですから、運用上の柔軟度は高く実務上は代休の方がより利用される傾向にあります。

 

代休の運用で法的に気をつけるべき点

代休は、休日労働を行う度に貯まる年次有給休暇?

ここからは、実際の代休の運用についてみていきたいと思います。

代休の運用に関しては、休日労働を行った労働者に対して会社が「この日に代休を取りなさい」と指定することは稀です。

多くの場合は、休日労働を行った労働者に代休を取得する権利を与え、それを労働者の判断で休みの日を指定して休む、といった形で運用が行われます。

いうなれば、休日労働を行う度に貯まる年次有給休暇のような形で運用が行われているわけです。

 

代休取得時に賃金を支給することのリスク

加えて、代休を年次有給休暇のような形で運用する場合に多いのが、休日労働分の時間外手当・休日手当を、休日労働をしたときではなく代休の取得時に支給する、という方法です。

まるっきり年次有給休暇の運用方法を真似ることで、運用の負担を減らす目的の他、代休の未消化を減らす目的などがあります。

ただ、こうした運用は全くダメ、とは言わないまでも、以下の通り、かなりリスクのある運用方法です。

 

代休の賃金に時間外手当・休日手当が入っていない

上記のような運用をするにはもそもその代休の元となった休日労働に関して、労働時間数はもちろんのこと、時間外手当が発生しているのか、休日手当が発生しているのか、といったことを把握していないといけません。

しかし、実際には、年次有給休暇のように運用する関係上、代休取得時の賃金も年次有給休暇と同じように計算していることが多く、結果、代休取得時の賃金に時間外手当・休日手当も入っていない、ということが往々にしてあります。

よって、代休取得時に賃金を支払う場合、労働時間数や所定休日労働・法定休日労働の別、といったことをきちんと把握し、それに合わせた賃金を支払う必要があります。

 

代休未消化の累積

また、代休取得時に賃金を支払う、という方法は、要は賃金支払の先送りです。

そのため、代休が消化できないと、その分、未払い賃金も累積していくことになります。

未払い賃金には遅延損害金が発生しますので、未払い賃金が増えれば増えるほど、遅延損害金も増えることになります。

よって、次の全額払いの原則との関係からも、代休取得時に賃金を支払う場合、未払い賃金が発生しないよう、速やかな消化が必要です。

 

代休の未消化と全額払いの原則

賃金の支払いについては、賃金支払の5原則というルールがあり、そのうちの一つに「全額払いの原則」というものがあります。

これは、一賃金支払期(賃金締め日の翌日から次の賃金締め日)までに発生した賃金は、分割することなく、賃金の全額をその期の支払日に賃金を支払わなければならないというものです。

しかし、休日労働を行った月の賃金締め日より後に代休を取得してしまうと、この全額払の原則に違反してしまいます。

例えば、1月に休日労働をした場合、基本的にはその休日労働分は1月の給与に入っていないといけません(※)。

一方で、1月の休日労働によって権利の発生した代休の取得が2月になってしまうと、1月に休日労働した分の給与は2月に支払われることになってしまいます。

こうしたことから、代休取得時に賃金を支払う場合、休日労働と代休は同じ賃金支払期にする必要があります。

 

※ 基本給は当月払、残業代は翌月払と支払時期を分けてる場合は別。ただし、この場合も1月に休日労働した分が2月の給与に入っていなかったら全額払の原則に反します。

 

代休と年次有給休暇の取得の優先順位

代休を年次有給休暇のように運用していると、代休と年次有給休暇、どちらから消化すべきなのか、ということが起こります。

どちらから消化しないといけない、という法律上の決まりはありませんが、ここまでの解説からもわかるとおり、代休は未消化分が貯まると未払い賃金の問題が発生します。

一方で、年次有給休暇には年5日の取得義務があります。

よって、どちらを優先すべきかはケースバイケースですが、年5日の取得義務が済んでいないなら年次有給休暇、済んでいるなら代休となるのではないでしょうか。

 

代休を有給のように運用するのは無理がある

ここまで読んでいただければわかると思いますが、代休は年次有給休暇とは全く違う制度であり、同じように運用しようとすることは法違反の元でしかありません。

そもそも、休日労働をさせた分の賃金はそのときにきちんと支払って、代休取得の際は無給とするのが代休の本来の形です。

よって、上記のような運用をされている場合は、代休の本来の形に戻ることを強くおすすめします。

 

代休を消化させたいなら業務命令

一方で、それだと、代休の消化が進まない、という場合は、会社が業務命令で代休を取得させれば問題ありません。

代休は年次有給休暇と違い、労働者の権利ではなく、法律上は労働者に時季指定権もありません。

 

代休・振替休日と就業規則の規定

最後に代休と振替休日を含む就業規則の規定例を紹介したいと思います。

第  条(休日)
1 休日は次のとおりとする。
 ① 毎週日曜日(法定休日)
 ② 夏季休日(日時はその都度決める)
 ③ 年末年始
 ④ その他会社カレンダーで定める日
2 業務の都合により会社が必要と認める場合は、あらかじめ前条の休日を他の日と振り返ることがある。
3 会社は所定外労働をさせたとき、又は1項の休日に出勤させたとき、代休を与えることができる。

休日規定に振替休日と代休の規定をプラスする形を取っています。

地味ですが、こうした規定は会社の業務命令権を下支えするものとなります。

具体的に言うと、こうした規定がないと、休日を振り替えるときや代休を与えるときに、会社は労働者一人一人の同意が必要となるのでかなり面倒なことになります。

また、振替休日については所定休日の振替の際に半日単位・時間単位取得を行う以外は、これ以上あまり変更することもないのですが、一方で、代休については、会社が自由に制度を定める余地があるので、そうした制度を定めたい場合は休日規定から独立させて「代休規定」を作成した方が良いでしょう。