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令和元年同様、令和2年も休日が大変動
早いもので今年もあと1ヵ月を切りました。
今年は改元があったこともあり、5月の10連休や、10月の即位礼祭殿の儀など、休日のカレンダーが例年とはかなり異なっていましたね。
実は来年(令和2年)も、主に東京オリンピックの影響で、休日が例年と異なる部分が多くあります。
休日の日程が変わると労務管理にも小さくない影響が出るので、きちんと確認しておきたいところです。
令和2年の休日事情
2月23日 天皇誕生日
天皇の代替わりにより、12月23日から2月23日に天皇誕生日が変わります。
昭和天皇といい、なぜか最近の天皇陛下は月末の誕生日が多いので、月末が繁忙期となる業種・会社はちょっと大変ですね(社労士事務所もその一つですが)。
また、昭和天皇の誕生日であった4月29日は現在、みどりの日を経て昭和の日として国民の祝日となっていますが、旧天皇誕生日の12月23日については今のところそうした予定はないようです。
7月23日 海の日
もともと7月20日で、ハッピーマンデーにより7月の第3月曜日に変わった海の日は、令和2年のみ、7月23日となります。
東京オリンピック開会式の前日を休日とするための措置で、次のスポーツの日と合わせて連休となります。
ちなみに、海の日が制定された当時、小学生だったわたしは、夏休みの初日である7月20日を休日にされたところで意味ねえじゃん、と文句を言ってました。まあ、大人になって、山の日ができたときも、お盆休みじゃねえか、と文句を言ってましたが。
7月24日 スポーツの日
東京オリンピック開会式の日に当たる7月24日は「スポーツの日」という休日となります。
前述の海の日が木曜日で、こちらのスポーツの日は金曜日なので、7月23日から7月26日までは、木曜日から日曜日の4連休となります(夏のシルバーウィーク)。
7月24日をスポーツの日とするのは令和2年のみの措置で、令和3年以降は10月の第2月曜日、つまり、現在の「体育の日」が「スポーツの日」に改称されます。
10月の第2月曜日(これまでの体育の日)は平日
そして、スポーツの日が7月24日にあり、同じ趣旨の休日は年に2回もいらない、ということなのか、令和2年10月の第2月曜日は平日です。
つまり、令和2年のみ、スポーツの日が「7月24日」で、10月の第2月曜日は平日。
令和3年以降は、10月の第2月曜日がスポーツの日となるわけですね。
9月のシルバーウィーク
令和2年は夏のシルバーウィークに加え、秋のシルバーウィークもあります。
というのも、9月の第3月曜日と定められている敬老の日が9月21日で、秋分の日が同月22日だからです。
よって、9月19日から22日、土曜日から火曜日にかけての4連休となります。
こちらは令和2年に限ったものではありませんが、数年に1回のことなので記載しておきました。
国民の休日・祝日と就業規則の休日規定
いつを労働日とし、いつを休日とするかは会社の裁量
さて、ここからは労務管理の話。
上記のように国民の休日・祝日が変わると、労務管理にも影響が出ます。
厳密に言うと「凄く影響が出る会社」と「全然影響のない会社」に分かれます。
というのも、大前提として、会社は国民の休日・祝日に休まないといけない義務はありません。
むしろ、いつを労働日とし、いつを休日とするのかについては、日曜日や国民の休日・祝日に関係なく、会社が決められます。
では、「凄く影響が出る会社」と「全然影響のない会社」の違いとは何でしょうか。
就業規則の休日規定で「国民の休日・祝日」を休日に定めているかどうか
その違いは就業規則の休日の規定に「国民の休日・祝日」を定めているかどうかです。
まずは、以下の厚生労働省のモデル就業規則の休日の規定を見てください。
(休日)
第20条 休日は、次のとおりとする。
① 土曜日及び日曜日
② 国民の祝日(日曜日と重なったときは翌日)
③ 年末年始(12月 日~ 1月 日)
④ 夏季休日( 月 日~ 月 日)
⑤ その他会社が指定する日
2 業務の都合により会社が必要と認める場合は、あらかじめ前項の休日を他の日と振り替えることがある。
太字にしてわかりやすくしてありますが、国民の祝日が会社の休日として定められています。
就業規則に「この日は休日とする」、と定められている以上、会社は当然、この日を休日としなければなりません。
なので、今年や来年のように国民の休日・祝日が変わると、毎年、休みの日が変わることになります。
もちろん、仮に国民の休日・祝日が、規定上休日となっていたとしても休日労働(所定休日労働)を命ずることで、祝日であっても働かせることはできます。ただ、一手間かかる上に、休日だと思っていたのに仕事、となると労働者側の不満も溜まります。
後になっての就業規則の休日規定を変更すると不利益変更に
加えて、上記のように規定に定めてしまった後だと、後で当該規定をなくそうとすると労働条件の不利益変更になってしまい、原則、個別に労働者の合意がないと就業規則の規定を変更できなくなってしまいます。
同じ理由で、モデル就業規則の休日の規定例に「土曜日」が含まれてることにも注意が必要です。
(話がそれますが、モデル就業規則には代休の規定がないことにも注意が必要)
休日を会社カレンダーで定める方法
なので、就業規則に休日の規定を定める場合は「絶対にこの日を労働日にすることはない日」のみを定めたほうが、後々の会社の裁量の幅を狭めずに済みます。
もっといえば、もっとも会社の裁量の幅を狭めない方法は、毎年会社カレンダーを定め、そのカレンダーに休日を定める方法です。
例えば、以下のように就業規則に休日規定を定め、
第 条
休日については会社カレンダーで定める日とし、法定休日は会社カレンダーにおいて指定する。
会社カレンダーを毎年定める、それを労働者に周知するわけです。
この方法は、会社カレンダーを必ず定める必要のある「1年単位の変形労働時間制」と相性が良く、実際、1年単位の変形労働時間制を利用している事業場だと、休日の規定をこのようにしていることが多いです。
また、「日曜日」「夏期・冬期休暇」「会社カレンダーに定めた日」を休日とする規定も割と主流です。
まとめ
以上となります。
まずは、来年は今年同様にいつもとは違う休日カレンダーとなることを頭に入れつつ、翻って、自分の会社の就業規則の休日規定はどうなっているか、今一度ご確認いただければと思います。