今日はこちらの記事について。
「業務を減らして、残業ゼロ」にNG、一体なぜ? 不当労働行為と認定
いろいろと違和感のあるタイトルで、わたしも最初見たとき「?」がいっぱい頭に浮かびました。
「業務を減らして、残業ゼロ」にNG、とだけ聞くと、あたかも、「業務を減らして、残業ゼロ」にすることが悪いことのような印象を受けるタイトルです。
これだけ、働き方改革が言われてるなかで、そんなことがありうるのかと思ってよくよく記事を見てみたら、なんというか釣られた感。
「業務を減らして、残業ゼロ」がNGになった背景
まず、ここでNGと言われているのは「少数派労働組合に加入した集配ドライバー10人の業務を減らし、残業を禁止した」ことです。つまり、労働組合員に対して「業務を減らして、残業ゼロ」にしたことが問題となっているわけです。労働組合が関わってるから「不当労働行為」という話も出てくるわけです(不当労働行為については、こちらの記事を)。
そもそも、本件は会社側が「残業したら、その分、歩合給をマイナスする」という制度を導入したことに端を発しています。
この制度自体は、おそらく国際自動車事件を参考にした制度を導入したのでしょうが、組合側は会社側がこうした制度を導入してきたことに反発。組合は会社からの残業命令を拒否するという「闘争」を行ったところ、上記のように会社は「業務を減らして、残業ゼロ」、要は、残業禁止という対応を取ったわけです。
会社側が残業禁止命令を出した背景には、残業を拒否する組合員が、実際にどの業務ならしてくれて、どの業務ならしないのか、というのが不明確だったので、何かしらの対応を取らないと会社の業務に悪影響が出ると判断したからとしています。
ただ、にしては、残業命令拒否の闘争に参加していない組合員まで残業禁止命令を出しているのは行き過ぎており、労働委員会も組合員に対する不利益取扱いと判断しています。この残業禁止に至るに当たって組合との話し合いをした形跡がないこと、組合の残業拒否の範囲が明確になってきてからも残業禁止措置が続いたこともマイナス要因だったようです。
加えて、この残業禁止命令により、残業拒否闘争に参加していないにもかかわらず残業を禁止されたことに不満を持った組合員が組合から離脱しており、これを受けて組合側は、残業禁止命令は組合員を離脱させるためのものと主張。
つまり、残業拒否闘争に参加していない労働者まで、残業禁止命令を出したのは、彼らを労働組合から離脱させるための策略だった主張したわけです。
(会社側が、そんなことにまで頭が回るならこんなふうに争いにならないだろ)
労働委員会もこれを認め、残業禁止命令は会社の労働組合への支配介入であると判断しています。
長々と、事件の概要を説明してきましたが、要するに、「業務を減らして、残業ゼロ」にした相手と過程に問題があっただけで、「業務を減らして、残業ゼロ」自体がいけないわけではないということです。
本件の概要や、労働委員会の判断について詳しく知りたい方は以下をどうぞ。
トールエクスプレスジャパン事件命令書交付について 別紙 (東京労働委員会)
変なタイトルに釣られていろいろ調べたてたら、他のブログ記事を書く時間がなくなったので今日はこんなところで。
今日のお知らせ
弊所代表の川嶋の新しい本が出ます。その名も、
「条文の役割から考える ベーシック就業規則作成の実務」(日本法令)
本書は、その条文はどうして必要なのか、どうしても必要なのか、いらなかったら削除していいのか、と、個々の条文の必要性にフォーカスを当てた就業規則本となります。
なぜ、本書で就業規則の個々の条文の必要性に焦点を当てたかというと、日々の就業規則作成業務で「この条文はどういう意味か」「この条文は変えられないのか」「この条文は削除できないのか」といった質問、要望をお客様から受けることが多かったので、ならば、本でそれらをまとめてしまおうと思ったわけです。
本書には魔法のような条文も奇策のような条文もありませんが、ベーシックな就業規則を作成するのにお力になれる就業規則本だと思っています。