他の社労士がどう思うかはわからないが、社会保険労務士は法律家ではない、というのがわたしの個人的な考えだ。
成り立ての頃は、社労士は法律家だと思っていたが、それは資格取得の際に労働法や社会保険法などの法律の勉強をし、結果、試験に受かったということに対するおごりでしかなかったと今では思っている。
社労士試験を受けたことがない人たちは知らないだろうが、社労士試験の試験科目には憲法も民法もない。
法律の解釈を求められるような試験問題もないため、試験でいわゆるリーガルマインドを必要とされることもない。
そうしたこともあり、社労士はあくまでいくつかの法律を扱うことのできる実務家である、というのが現在のわたしの考えだ。
とはいえ、業務上、法律を扱う必要があるし、それができないのであれば社会保険労務士という職業の存在意義にも関わる。1号業務・2号業務は社労士資格を持たないものでも経験を積めばできるし、3号業務に関しては現在進行形で資格を持たないコンサルタントとの競争がある。
よって、実務を学ぶことと法律を学ぶことは社労士にとってどちらも切り離せないものといえるが、そうした中で、最近わたしが読んだのがこちらの本である。
すでに述べたように、憲法や民法、法律の解釈といった法学部の学生レベルで必ず習うレベルの法律の勉強をせずに社労士になる人間は多く、わたしもその中の一人だ。
それでも社労士は労働法や社会保険法についてお客様への説明したり相談をうけられるようでなければならない(わたしの場合、それに加えて、執筆活動やブログ記事の作成のため法改正の内容を理解し、わかりやすく解説できるようにならなければならない)。
これまでも泥縄式に様々な本を読んでは挫折や途中で忙しくなって疎遠になってしまっていたが、本書は文章が易しく、要点がまとめられていてかなり読みやすく、あっという間に読み終わってしまった。
おかげで、これまで薄ぼんやりと曖昧に捉えていた法律の実態をかなりはっきりと掴めるようになった気がする。
本書は入門書という位置づけかもしれないが、学び直しの一冊としても使えるものなのではないだろうか。