子どもの頃、宇宙人はいるのかいないのかを考えたり、友達と議論するのはもしかしたら通過儀礼みたいなものなのかもしれません。しかし、自分で自分の記憶をねじ曲げていないのであれば、わたし自身はそうしたことに興味のない子どもだったと思っています。
ただ、宇宙そのものに興味がなかったわけではなく、地球や月、太陽系、あるいは宇宙の成り立ちみたいなものには凄く興味があったので、テレビや本などで宇宙が自分の思ってるよりもはるかに大きいことを幼心に知った頃には、「それだけ大きいならどこかにいてもおかしくない」と自然と考えるようになっていました。
ネタバレでも何でもないので書きますが、みなさんご存じのように、現在のところ、地球以外の星で生命が見つかったという発表はありません。
しかし、それは「まだ」ないだけで、今後はどうかわかりません。
本書はそういう気持ちにさせてくれる本で、「イマジネーション」という言葉をキーワードに、過去、人がどのように宇宙に思いをはせ、宇宙へと飛び出すことができたのか、あるいは研究によって人は宇宙のことをどれだけ知ることができたかなどを、科学者でありながら小説で賞を取ったこともある筆者が、史実や科学的な事実を文学的なタッチで解説しています。
宇宙に関する本は、多くの人にとっては良くも悪くも「娯楽本」で、人生の役に立つかといえばそうではないかもしれませんが、本書はその独特な文体で、その娯楽的要素を高めており、非常に読みやすいのと同時に、宇宙へのドキドキを高めてくれる良書です。