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労働法

36協定って、協定届の他に1年単位の変形労働時間制のような協定書はいらないの?

会社が、法定労働時間を超えて時間外労働・休日労働を労働者にさせるには36協定という「労使協定」を締結し、監督署に提出する必要があります。

この際、監督署に提出するのはほとんどの場合、36協定「届」(いわゆる様式9号と呼ばれるもの)だけですが、これについて疑問に思ったことはありませんか?

というのも、例えば1年単位の変形労働時間制の場合、1年単位の変形労働時間制の「協定届」と「労使協定(協定書)」を監督署に提出します。

つまり、他の制度だと「協定届」と「労使協定(協定書)」は別物とされているわけです。

 

「昭和五三年一一月二○日基発六四二号」によると?

では、36協定も本来であれば「労使協定(協定書)」が必要であり、「協定届」だけでは効力はないのでしょうか。

それを知るにはわたしが生まれる前に(!?)発行された「昭和五三年一一月二○日基発六四二号」という当時労働省の通達をみる必要があります。

まず、「協定届」と「労使協定(協定書)」の関係についてですが、同通達には以下のようにあります。

施行規則第一七条第一項の規定により、法第三六条の届出は様式第九号(注:協定届のこと)によつて行えば足り、必ずしも三六協定の協定書そのものを提出する必要はないが、当該協定書は当該事業場に保存しておく必要があること。また、三六協定を書面で結ばずに様式第九号のみを届け出たとしても、時間外労働等を行わせることができないことはいうまでもないこと。

要するに、「協定届」を提出すれば「労使協定(協定書)」の提出までは必要ないよ、ということが書かれています。

言い換えれば、「協定届」とは別に「労使協定(協定書)」は必要であると書かれているとも言えます。

 

協定届=協定書

しかし、上記の文言に続いて

なお、様式第九号(協定届)に労働者代表の押印等を加えることにより、これを三六協定の協定書とすることは差し支えなく、また、これを届け出ることも差し支えないが、この場合には、当該協定書の写しを当該事業場に保存しておく必要があること。

とあるように、協定届に「労働者代表の押印等」を加えることで、協定届自体を「協定書」とすることができると明言されています。

通常、36協定届の提出の際は、同じものを2部作成し、使用者の押印と労働者代表の押印を必ずしたうえで、1部を提出、もう1部を控えとして保管するので、協定届に「労働者代表の押印等」がない、というのは基本的にありえません。

つまり、36協定においてはほとんどの場合で「協定届=協定書」となっているので、1年単位の変形労働時間制のように「労使協定(協定書)」を提出することはないわけです。

もちろん、協定書を作成すること自体は何も問題ありません。

 

以上です。

あまりに当たり前に、36協定は協定届だけを提出し、1年単位の変形労働時間制では協定届と協定書の両方を提出することに慣れて切っていましたが、そうした慣習にはそれなりの根拠があったというわけです。

ただ、今国会で成立予定の働き方改革に関連する労働基準法の改正では、36協定に関する法改正も含まれているので、こうした慣習が万が一にも変わらないとも言い切れないので、念のため注意しておく必要があるでしょう。

今日のあとがき

数年前に、われわれの社労士業界の信頼をどん底に叩き落としてくれた「うつ病社労士」、みなさん覚えていますかね?

それについて今日、こんなニュースが飛び込んできました。

「社員をうつ病にさせる方法」ブログ、処分は適法 名古屋地裁、社労士の請求退け

あくまで厚労省の処分が適法とされただけで、愛知県社労士会が行った処分への判断はまだこれかららしいです。

だったら、社労士として登録してないはずだから「○○社労士」なんて中日新聞は呼ばないでほしいです。

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名古屋の社労士事務所、川嶋事務所の代表で、このブログの筆者。 新しいこと、もの、特にIT関連が大好きで、社労士としては会社・労働者のITトラブル対策・就業規則作成が得意分野。 2016年4月から9月まで中日新聞で「働く人を守る労働保険」を連載、開業社労士専門誌「SR」に寄稿するなど、メディアでの執筆活動も。