時間外労働

36協定を電子申請なんかで出してられない話

2018年2月19日

労働者に法定労働時間(1日8時間、1週40時間)を超えて時間外・休日労働してもらうために必要となる36協定。

その36協定の有効期間ですが、期間が1年なのは良いとして、その始期は暦年(つまり1月から)ベースなのか、年度単位(つまり4月から)ベースなのかで会社によって違いがあることが多いです(他には決算と合わせる場合も)。

で、暦年の場合は去年までに終わらせておく必要がありますが(まだやってない場合は遅れてもいいから今すぐやった方が良いですよ)、年度の場合はおそらくこれからというところが多いでしょう。

弊所でも年度で期間を区切っている事業所の36協定の更新に向けて、現在動き出しているところですが、実は「36協定」を始めとする労働基準監督署に提出する書類(以下、36協定等)については、昨年末「ほんの少しだけ」電子申請が楽になりました。

 

簡単にはなったけれど・・・

というのも、これまで社会保険労務士が36協定等を電子申請しようとすると、社労士の電子署名・電子証明書の他に会社の電子署名・電子証明書が必要となっていました。

しかし、会社の電子署名・電子証明書を借りるなんて大変すぎて誰もやらない結果、電子申請による36協定等の提出率は1%以下という惨状。

それが労働基準法施行規則の改正により昨年12月1日より、「会社の委任状があれば」社労士の電子署名・電子証明書だけで電子申請が可能となったわけです。

なので、簡単になったと言ってもあくまで「社労士からみて」であり、会社が社労士を経由しないで電子申請する場合に関しては何も変わりがありません。

じゃあ、社労士からみてこれで使えるものになったかというと、うーーん。

はっきり言って全然使えません。

なぜなら、36協定等を電子申請するには現状必ず「e-gov」を経由しないといけないのですが、このサイトでの電子申請が非常使いづらい(細かい点は省きますが未だにInternet Explorer必須な時点でお察しください)。

なので、普段、他の雇用保険や社会保険の電子申請をする際は業務用ソフト経由で行っているのですが、36協定等の電子申請に関しては、まだそうした民間ソフト経由での電子申請はできません

よって、「今はまだ」使えない、というわけです。

 

とりあえず今シーズンは諦め今後に期待

とはいえ、雇用保険や社会保険の電子申請も始めは使用者と社労士両方の電子署名・電子証明書を要求したり、APIも公開されなかったりだったのが、今では社労士の電子署名・電子証明書と使用者の委任状があれば、業務用ソフト経由で電子申請ができます。

結果、社会保険の電子申請の比率は平成28年12月の段階で「12.6%」にまで上がっています。国税など他の比率に比べてしまうとそれでもまだかなり低いですが、以前の3,4%台に比べれば大分マシ。

なので、そのうちできるようなるとは思いますが(といいつつ、デスクにPCがほとんど置かれてない名古屋周辺のいくつかの監督署を思い出すと不安になりますが)、今シーズンには間に合いそうにないので、弊所は基本郵送で36協定を提出することになりそうです。

 

今日のあとがき

今日一番のニュースは、厚労省の役人がバカやってくれたおかげで、働き方改革に関する法案の提出が予定の27日よりも遅れるかもとか。

厚労相、裁量労働巡り謝罪 違う調査で労働時間比較

中に含まれる労基法の改正なんてもう何年前の法案だと思ってんの? てか呪われてるのかこの法案? いい加減、勘弁してくれー。

 

あと、関係ないけど出版社の倒産で今年度版の発売が危ぶまれてた「うかるぞ社労士」ですが、出版社が変わった関係で名前こそ変わってますが、ちゃんと出てましたね。

わたしにとっては、この本のおかげで社労士試験に受かった以上に思い出深い本なので一安心。

最近の試験の傾向がわからないのと、現在の版の内容もわからないので安易にはオススメしませんが、多分今でも大丈夫なはず。

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  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士川嶋事務所の代表。「いい会社」を作るためのコンサルティングファーム「TNC」のメンバー。行動経済学会(幽霊)会員 社労士だった叔父の病気を機に猛勉強して社労士に。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 3冊の著書のほか「ビジネスガイド」「企業実務」などメディアでの執筆実績多数。

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