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働き方改革 副業

副業・兼業時の労働時間の通算による弊害(「時間外労働の上限規制」と「社会保険」)

今日も副業・兼業について。

一昨日、厚生労働省で「第5回柔軟な働き方に関する検討会」が行われ、副業・兼業のガイドラインが「骨子案」から「案」に変わりました。

副業・兼業の促進に関するガイドラインガイドライン(案)(参照:第5回柔軟な働き方に関する検討会)

もう一脱皮か二脱皮すると「ガイドライン」になるはずですが、「案」になっても、前回指摘した労働時間の通算に関しては変化ないまま。

地獄絵図は変わりそうにありません。

 

労働時間の通算と時間外労働の上限規制

で、通算するとなるとまだまだ厄介な問題があって、そのうちの1つが平成31年4月1日より始まると言われている「時間外労働の上限規制」です。

この規制が始まると、36協定を結んでいても1か月の時間外労働は基本的には45時間までです。

いや、始まる前の今でも限度時間は45時間なんですが、法の強制力が法改正前と後では雲泥の差があります。

また、特別条項を結べば、1年のうち半年以内であればそれ以上働かせることもできますが、それも単月は100時間未満まで。

他にもありますが、それは今日のメインじゃないので過去記事をどうぞ。

労働基準法改正案から「時間外労働の上限規制」やその「労使協定」を解説

 

本業の週所定労働時間が40時間だと、副業先の週所定労働時間は10.5時間が限界

で、異なる使用者に雇用される「ダブルワーク型副業」で労働時間を通算するとなると、結構簡単にこの時間外労働の上限規制に引っかかるというのは、ちょっと想像していただければわかると思います。

なにせ、本業の週所定労働時間が40時間の場合、副業先の事業場で週15時間も働いたら、4週で60時間。限度時間の45時間を超えてしまいます。

仮に特別条項を結んでいたとしても、毎月は超えられないので、所定労働時間として定められるのは実質的には週11時間ほどが限度となります(本業が週所定労働時間40時間の場合ね)。

これだと所得を増やしたくて副業・兼業をする人にとっても、スキルアップなど何かしらの目的を持ってやる人にとっても、物足りない時間なのではないでしょうか。

 

ダブルワーク型副業と社会保険の複数事業所での加入

さらに言うと、時間外労働の上限規制が始まると、ダブルワーク型副業の場合、副業先での社会保険への加入も実質的には不可能となるでしょう。

社会保険は複数事業所で加入することが可能ですが、そのためには、それぞれの事業所で加入条件を満たす必要があります。

社会保険加入の最低条件は特定適用事業所(被保険者数501人以上の事業所)でも週20時間、それ以外だと、1週間の労働時間が通常の労働者の4分の3以上必要です。

つまり、副業先が特定適用事業所でも、本業の週所定労働時間が30時間を超えると、どうやっても社会保険を複数事業場で加入することはできないわけです。

 

一応、「柔軟な働き方に関する検討会 報告(案)」でも、この点について指摘があるので、遠くない将来改善される可能性はありますが、どうなることやら。

仮に改正でこうした扱いが変更されたとしても、結局、労働時間は通算しないといけないとなると「時間外労働の上限規制」との兼ね合いは残るわけですしね。

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名古屋の社労士事務所、川嶋事務所の代表で、このブログの筆者。 新しいこと、もの、特にIT関連が大好きで、社労士としては会社・労働者のITトラブル対策・就業規則作成が得意分野。 2016年4月から9月まで中日新聞で「働く人を守る労働保険」を連載、開業社労士専門誌「SR」に寄稿するなど、メディアでの執筆活動も。