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働き方改革 副業

本業と副業の労働時間通算は誰も得しない「死のトライアングル」

過去にこのブログでは何度も副業・兼業について記事にしていますが、今日もその話。

11月20日に公表されたの副業・兼業ガイドラインの骨子案では、「本業と副業の労働時間通算する」ことについて、深く入り込んだ記載はなかったものの、過去の判断のままとも読めるものとなっていました。

副業・兼業の推進に関するガイドライン骨子案

つまり、このままいくと「本業と副業の労働時間通算」は変わらないということです。

ちなみに、ここで言う副業とは複数の事業場で雇用される場合、ダブルワーク型副業を指します。

 

副業先は時間外手当の支払いが大変

で、この「本業と副業の労働時間通算」が規定事項となるとどうなるか、結論から先に言うと「本業先の会社」「副業先の会社」「副業を希望する労働者」の三者、誰も得しないことになります。

なぜか。

一番わかりやすいのは「副業先の会社」です。

労働時間を通算した結果、1日8時間1週40時間の法定労働時間を超えた場合、時間外手当の支払い義務が発生するのは多くの場合「副業先の会社」です。

よって、そうした負担を嫌がる会社は、他に本業を持つ労働者を雇用することを嫌がるかもしれません。

副業・兼業は原則禁止できない? なら、はじめから雇用しないか、副業・兼業する労働者(多くはパートやアルバイト)は36協定の対象から外せば良いだけです。

副業・兼業中の労働時間はほとんどの場合時間外労働となるわけですから。

 

本業先は事務手続きが増大

「本業先の会社」にしたって、得はありません。

副業先同様、余分な時間外手当の支払いが起こりうるのもそうですが、何より大きいのが事務手続きの増大。

会社には労働者の労働時間を把握する義務があるからと、副業先の分まで把握しようとすると、人事労務担当者の仕事は増す一方。

おまけに、副業先ごとに異なる変形労働時間制を使ってたり、法定休日が違ったり、週の起算日が違ってたら、それぞれの労働者について、それに合わせた労働時間の通算をしないといけない。

それらのことを間違いなく正確にやれる会社が日本にいくつあるのかという話。

そもそも本業側からすると、情報漏洩、競業、本業への影響から副業・兼業を原則禁止としているのに、原則禁止はやめろといわれてもという話。

また、副業・兼業の原則禁止は判例上は違反といえますが、法令で禁止されているわけではないので、先日のNHK受信料じゃありませんが、裁判になるまで放っておく会社が続出してもおかしくありません。

(本業側だけの問題みたいに書いてるけど、副業側だって事務手続きの増大は同様)

 

結果、労働者は・・・

「副業先」もイヤイヤ、「本業先」もイヤイヤ、となると「副業・兼業を希望する労働者」はどうなるかというと、答えは簡単ですね。

副業先として働く会社がありません。

全ての会社が副業・兼業を原則解禁したとしても、副業・兼業をしたがる労働者を雇う会社がなければ意味はないわけです。

 

労働者の自由な時間を会社が把握?

「本業と副業の労働時間通算する」というのは、労働者の健康管理のためとされています。

しかし、そもそも副業・兼業を原則解禁する理由が「就業時間外は本来労働者の自由な時間」なのだから、会社に不利益がなければ基本何したって良いでしょ、って言う話なのに、その自由な時間を会社に把握させるって、それってもうなんか哲学。

本業側となる会社も副業側の会社も労働者も得しない考えを押し通すって、副業・兼業の推進を殺しにかかってるようなもの。

まだ、公表されているのが、ガイドライン案どころかガイドラインの骨子の案というのが救いですが、この辺りが解決されない限りは、副業・兼業にまつわる話は混乱するだけでしょう

今日のあとがき

最低限の週1更新を週のギリギリで達成するスタイルとなった本日の記事は、なるべくカジュアルに副業・兼業の労働時間の通算の問題を書いてみました。

今の厚生労働省がいかにバカげたことをしようとしているかを、多くの人に知ってもらうためです。

懇切丁寧に解説できなくもないですが、過去の記事と被る部分も多くなるし、なにより小難しくなるんですよね。

なので、気になる方は、記事の所々に貼ってあるリンクから、過去記事を見ていただければと思います。(本当は過去にSRに寄稿した記事を見てもらうのが一番なんですけどね)

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名古屋の社労士事務所、川嶋事務所の代表で、このブログの筆者。 新しいこと、もの、特にIT関連が大好きで、社労士としては会社・労働者のITトラブル対策・就業規則作成が得意分野。 2016年4月から9月まで中日新聞で「働く人を守る労働保険」を連載、開業社労士専門誌「SR」に寄稿するなど、メディアでの執筆活動も。