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働き方改革 副業

週の起算日が異なる場合の副業時の労働時間通算ってどうするの?(俺が聞きたい)

働き方改革のける副業・兼業に関するガイドラインの骨子が先週の月曜日に出ています。

副業・兼業の推進に関するガイドライン骨子案(参照:厚生労働省)

内容の基本線は、企業は業務に支障等がないのであれば労働者の副業・兼業は基本認めるべきだというもので、それは過去の働き方改革実行計画の内容と一緒。

で、個人的に気になっていたのが、ダブルワーク型副業の場合に、本業の労働時間と副業先の労働時間を通算するのか否かの判断を、ガイドラインでどのように示してくるのかという点でした。

というのも、労働基準法38条では、労働時間について

第三十八条 労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。

としています。

ここでいう「事業場を異にする場合」というのが、事業主が同一の場合に限られるのか、事業主が異なる場合も通算するのかで意見が分かれており、行政は古来から事業主が異なる場合も通算するという立場でした。

 

異なる事業主で労働時間を通算する場合って面倒

ただ、事業主が異なる場合も労働時間を通算するとなると、様々な不都合や面倒が生じます。

まず、なにより、会社からすると、単純に副業先の労働時間を把握するのが面倒くさい。

おまけに、通算した結果、1日8時間1週40時間の法定労働時間を超えた場合、当然、時間外手当の支払いをする必要があります。

その計算も当然面倒なわけですが、時間外手当については基本、労働者からみて副業先の会社が負担することになるので、副業をする労働者を雇う会社の人件費の負担が増えることになります。

 

副業・兼業をするしないは労働者の自由意志のはずだが・・・

こうした面倒や負担を強いる労働時間の通算を、新たなガイドラインに目を通すまでは「しなくていい」と言ってくれるかもと、わたしは個人的に期待していました。

だって、副業・兼業するかしないかは労働者の自由意志であり、副業・兼業をしている時間は、本業側の会社からしたら労働者のプライベートな時間の話。

そんな時間の管理まで会社にさせて、会社・労働者双方にどんなメリットがあるというのか、という話ですから。

ただ、現実にはどうもそうはなりそうにない。

ガイドラインの骨子案でも、通算することはほぼ前提条件。

それどころか、本来労働法の対象外である自営・フリーランス型の副業をする労働者の労働時間についても、健康管理の面から把握するのが望ましいとのたまう始末。

厚労省の副業・兼業担当には、ロートの担当者の爪を煎じて飲ませたいレベルです。

政府が年度内に副業解禁へ:長時間労働不安、社会保険はどうなる?

 

労働時間を通算することによって起こる諸問題

じゃあ、百歩譲って、労働時間を通算します、それはいいでしょう。

それだとわからないことがいくつかあります。

通算した結果「時間外労働の上限規制」の上限超えた場合、それって会社の責任で、会社が罰を受けるんですか?

そんなリスクを冒してまで、会社は副業希望者を雇うのでしょうか?

また、通算するとして、例えば、本業先と副業先とで、週の起算日(※)が異なるってことはありえますよね?

本業先は「月曜日」だけど、副業先は「日曜日」とか。

こういう場合に、労働時間を通算して1週の40時間を超えてるかどうか、その時間外手当はどちらが払うか、見たいな判断ってどうやればいいんですかね?

気になるので、詳しく見ていきましょう。

※ 週の起算日は会社が規則で定めることができるが、定めない場合は日曜日が起算日となる

 

本業側と副業側で週の起算日が異なる場合

例えば、月曜から金曜まで所定労働時間8時間の会社で週の起算日は月曜日という会社で働く労働者が、日曜日から水曜日まで所定労働時間4時間、別の会社で副業として働くという場合。

この副業先の会社の週の起算日は日曜日です。

図に直すと以下の通り。

本業 0 8 8 8 8 8 0 0
副業 4 4 4 4 0 0 0 4

※ 太字は週の起算日

で、この場合月曜日から水曜日までの副業先の4時間の労働時間は、「1日8時間」の法定労働時間を超えているので、時間外手当の対象となります。

支払う義務があるのは基本的には副業側です(通達では1日のうち後に働く事業場、コンメンタールでは契約が後の事業場に支払い義務があるとしているため)。

 

本業側でも副業側でも時間外手当発生?

一方、日曜日の4時間については、ことはそう単純ではありません。

まず、本業側から見た場合、日曜日の4時間について副業側が時間外手当を支払うことに議論の余地はないように思えます。

月曜日を週の起算日とし、そこから金曜日まで40時間働かせていて、日曜日の4時間はそれを超える部分になるわけですから。

本業 8 8 8 8 8 0 0
副業 4 4 4 0 0 0 4

(※ 青字は時間外手当が発生しない時間 赤字は週で見た場合に時間外手当が発生する時間)

 

しかし、副業側から見ると、様相が変わります。

副業側は日曜日が週の起算日です。

よって、法定労働時間の1週40時間については日曜日の労働時間から数えることになります。

日曜日から数えるわけですから、この4時間が時間外と言うことはありえません(40時間分の最初の4時間と考えることができる)。

むしろ、本業側の金曜日の労働時間8時間のうち、後半の4時間が時間外労働なのではないかと考えられます。

本業 0 8 8 8 8 8(44) 0
副業 4 4 4 4 0 0 0

(※ 青字は時間外手当が発生しない時間 赤字は週で見た場合に時間外手当が発生する時間)

つまり、本業側にも副業側にも時間外手当の支払い義務が発生するとも言えるし、どちらにもないとも言える状況。

どうするの? これ? という話ですよ。

(ちなみに、月曜日から水曜日の4時間についてはすでに1日の法定労働時間に引っかかっているので、週で見る場合には考える必要はない)

 

厚労省に本当にやる気があるなら相応の答えを用意しておくべき

別に、労働時間の通算と週の起算日の話に関しては、働き方改革によって新しく生まれた問題ではなく、これまでもあった問題でした。

ただ、本業先と副業先の労働時間の通算自体が実務上軽視されており、はっきり言ってしまえば誰も守っていなかったし、監督する側も指導や勧告もできていない状況だったため、これまで問題にはなっていませんでした。

しかし、副業・兼業のガイドラインで通算するとはっきり示す以上は、監督署による指導等もしていくってことですよね?

でも、上記のような問題をほったらかしにされたら、労務の現場はマジで困るし混乱するだけなので、言うだけタダみたいな態度はやめて、本当にその気があるなら、通算した場合に考えられる全ての状況に対して答えを用意しておくべきでしょう。

でないと、社労士としても手伝いようがありません。

 

今日のあとがき

先週の24日、連休の中日にしてプレミアムフライデーという、もう休みでいいんじゃないかってな日に、かねてより宣伝していた、日本法令主催のセミナーに登壇させてただいてきました。

改めてですが、ご来場いただいた皆様および、主催の日本法令の方々、本当にありがとうございます。

ただ、セミナーをやるとたいてい持ち時間を余らせて終わってしまうことが多かったので、今回はそうならないようかなり準備していったのですが、正直ちょっと準備しすぎてしまったのはもうしわけなかったですね。

そのせいで、今回は時間が全然足らずで後半は急ぎ足もいいところで終わってしまったので・・・。

アンケートでは温かい意見も厳しい意見もありましたが、それを糧に今後に活かしていきたいと思いますので、次の機会があればよろしくお願いします。

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名古屋の社労士事務所、川嶋事務所の代表で、このブログの筆者。 新しいこと、もの、特にIT関連が大好きで、社労士としては会社・労働者のITトラブル対策・就業規則作成が得意分野。 2016年4月から9月まで中日新聞で「働く人を守る労働保険」を連載、開業社労士専門誌「SR」に寄稿するなど、メディアでの執筆活動も。