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ストレスチェック 法改正

ネットでできるストレスチェックをなぜ医師や保健師にさせるのか(怒)

2016/01/04

前回の続きです。

予告通り、このストレスチェックという制度がいかにおかしな制度かわたしの意見を書いていきたいと思います。

 

ストレスチェックはネットでできる

まず、このストレスチェック、内容自体は会社ごとや医師ごとに異なっていてもいいらしいのですが、実は現在、国が定める標準的なタイプのものを厚労省のホームページで受けることができます。

5分でできる職場のストレスチェック

すべての質問に答え終わると以下のように結果がわかります。(PDFからのJPEG変換がうまく行かなくて、スクリーンショットから無理やり画像をあげたのでちょっと見づらいですがご了承ください)

ストレスチェック(社会保険労務士川嶋事務所)
ストレスチェック2(社会保険労務士川嶋事務所)

ちなみに、上記の結果は質問内容と関係なく、延々一番左の選択肢を選んだだけなのでわたしのストレス状況とは全く一致してないのであしからず。

ただ、内容を見てもらえればわかるとおり、結果についてきちんと分析されているしコメントも詳細です。というか、このストレスチェックは国の定める標準的なストレスチェックを元にしているのだから、医師や保健師に同じことやらせても出てくる結果は同じでしょう。

ネットで5分で、しかもタダでできるようなものを企業にお金と時間をかけさせて行わせる意味がわからない。少なくとも、このホームページでできる以上の付加価値がなければわざわざお金を出したいとは思いません。

だいたいからして、これを使って個人個人でストレスチェックして、自分やべーな、って思った人だけ、会社に相談したりお医者さんに行ったりすればいいんじゃないの、と思ってしまうわけです。実際、義務化される今回のストレスチェックでも、ストレスチェックの結果、会社に相談するかやお医者さんに相談するかといった判断は労働者に任されています。

今回のストレスチェックの目的の1つが「労働者自身のストレスへの気付きを促す」ということなら、会社の義務になんかせず、労働者の義務にして最低レベルのものはネットで無料それ以上のレベルがほしい人は医師や保健師の元で有料で受ければいいのです。

 

義務化は50人以上の事業場が対象

不可解な点はまだあります。

今回の制度では50人以上の労働者を抱える事業場が対象です。

事業場というのは工場や事務所、店舗といった一定の場所で組織的に作業する単位のことです。よって、法人全体で50人以上いるからといって、かならずしも事業場に50人以上いるとは限りません。

例えば、コンビニや飲食店のように本社には50人以上の労働者がいたとしても、各店舗に50人もいるような店舗はまずありません。なので、過労死したワタミの元店員現在裁判中の餃子の王将の社員なんかは、その当時にこの制度があったとしてもストレスチェックを受けられたかはわからないわけです。

そもそも、ストレスチェックを義務付けられているのは企業ですが、労働者の同意がない限り、その結果を企業側がストレスチェックの実施者(医師や保健師等)から教えてもらうことはできません。労働者が自分のメンタルの情報を企業に知られたくない、ということに配慮した措置ですが、なのになぜ、企業にそれをさせるのか、上記の人達のような境遇にある人に確実にストレスチェック受けてもらうには本人の義務にすればいいはずです。

いろいろやらかした後なのでしばらく触れずに置こうと思っていたのですが、わたしなんかはこういうのこそマイナンバーでやればいいと思うわけです。すでにネットでストレスチェックできる環境があるのだから、平成29年に開設される予定のマイナポータルからできるようにして、やってない人に対してはアラートを出したり機能の一部を停止すればいい。

マイナポータルの普及率がどうなるかや、ストレスチェックの結果をどこが保管するのかといった問題はありますが、少なくともやらない人や、やってない人を国は把握することができます。

 

集団分析は努力義務

また、今回のストレスチェックの義務化の大きな要因は、ここ数年でメンタルヘルス労災が増えている点がその理由とされていますが、だとすれば、なぜストレスチェック全体の結果と言える集団分析を努力義務とするのでしょうか

ストレスチェックの目的には上にあげた他に「ストレスの原因となる職場環境の改善につなげる」とあります。

集団分析の結果を元に会社が労務改善を行い、個々の会社でメンタルヘルス労災を減らしていこう、というのならこの目的もわかりますが、その集団分析が努力義務なら、はっきり言ってやるところはやるしやらないところはやらない。

会社がストレスチェックを行うことについて明確な必然が感じられるのは、個人的にはこの集団分析だけで、他は個々の労働者で十分対応できることだと思うので、余計に意味がわからないのです。

結局、今回のストレスチェック制度の成り立ちというのは、個人に義務付けるのは世論の反発が大きいが、会社にやらせるのは簡単だ、ということで会社の義務になっているとしか思えません。

そして、わたしは国が会社にこうした負担をかけるような政策は大嫌いです。ストレスを感じていることに気づくことが大事というなら、子供へ教育する段階からきちんとそういうことを教えるのが最も手っ取り早くコストもかからないはず。

いい加減、政府は会社に社会保障を押し付けるような真似はやめるべきです。

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名古屋の社労士事務所、川嶋事務所の代表で、このブログの筆者。 新しいこと、もの、特にIT関連が大好きで、社労士としては会社・労働者のITトラブル対策・就業規則作成が得意分野。 2016年4月から9月まで中日新聞で「働く人を守る労働保険」を連載、開業社労士専門誌「SR」に寄稿するなど、メディアでの執筆活動も。