労働組合

アリさんの件でユニオンがうまい具合にステルスしてる件について

2015年10月6日

ari_rogo

アリさんマークの引越社の副社長の件、ネットでも大きな話題になっていますね。

で、アリさんマークの引越社の労働実態が明らかになればなるほど、企業側の社労士といえど擁護が難しい部分が出てくるのですが、件の副社長の怒りの原因というのは本人の気質を除いても、実はわからないでもありません。

ニュース等にもある通り、副社長があの場に出てきたのは、派遣ユニオンの抗議活動を止めるためでした。記事にはありませんがこうした抗議活動は労使トラブル発生以降、連日連夜のように行われていたのではないでしょうか

これをやられると会社の経営者は精神的に非常に参ってしまいます。拡声器等で会社の前で抗議活動されるわけですから、例えるなら自宅前で毎日選挙カーが選挙活動を行うようなもの。日々の業務に影響があるのはもちろんのこと、周辺住民やクライアントへの悪評にもつながります。わたしのクライアントでも人生の中でこれが一番参ったという人もいるほどです。

だからといって、副社長のあの態度を擁護できるかというとそういうわけでもないですし、繰り返しますが報道やネット等で伝え聞く限りの情報判断では、アリさんマークの引越社の労務管理を擁護する気にもなれません。

ただ、思うのは、ユニオン側も動画の出し方が上手ですよね、ってこと。あの短い動画では、上記のような実態(と言っても、あくまでわたしの予想だけど、ただ、ユニオンの抗議活動としては割と普通なこと)はおくびにも出さず、会社が悪であることを大々的に宣伝できたわけですから。

また、例の動画以外でも興味深い点として、この件の発端となった男性社員とのトラブルについて会社は、一度懲戒解雇にした相手に訴訟を起こされた際に、解雇を取り下げていることです。

これ、弁護士の向井蘭さんの著作「社長は労働法をこう使え!」内で紹介されている、社労士の間では割と有名な手法なのですが、ということはアリさんマークの引越社には誰か社労士が顧問に入っていたのでしょうか? それとも、訴訟を承った弁護士さんの入れ知恵なのでしょうか。野次馬根性的な意味で興味がつきません。本社は名古屋の会社ですし!

以下の記事からは、アリさんとアリさん以外の引っ越し業界の内情も透けて見えてきます。

アリさんマークの引越社の現場はかわいそうだなと思ったお話。

また、大昔に不当解雇とユニオンの労働裁判をテーマにしたゲーム動画を作ったことがあったので興味があったらご覧ください。

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  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士川嶋事務所の代表。「いい会社」を作るためのコンサルティングファーム「TNC」のメンバー。行動経済学会(幽霊)会員 社労士だった叔父の病気を機に猛勉強して社労士に。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 3冊の著書のほか「ビジネスガイド」「企業実務」などメディアでの執筆実績多数。

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