発行開始まであと1週間を切ったマイナンバーですが、10月以降に届くものは通知カードと言って、マイナンバーと氏名や生年月日といった最低限の個人情報が記載された紙製のカードです。通知カードには身分証明能力はなく、あくまでマイナンバーの確認にしか使えません。
そして、通知カードと一緒に届くのが個人番号カード交付申請書です。
個人番号カードとはマイナンバーの他に氏名・住所・生年月日・性別の他に自分の顔写真とICチップが搭載されたプラスチック製のカードであり、将来的には免許証や健康保険被保険者証といった様々な行政サービスに使えるようになる予定です。
で、この個人番号カードに載っける顔写真なんですが、実は自分で撮ったものを使用することになります。
なので、個人番号カードを取得するには、自分で撮ったものや誰かに撮ってもらったものを交付申請書に貼り付けて送るか、交付申請書記載のQRコードから写真を送る必要があるのです。
なので、自動車免許のように流れ作業で適当に撮られて大失敗したものをずっと使う、ということはなく、プロのカメラマンに自分が納得できる写真を撮ってもらったり、スマホで撮った写真を修正に修正を重ねたものを使うこともできるはずです。
偽造の個人番号カードを行政に作らせる方法
で、です。
自分で写真を選べるということは、逆に言えば自分以外の写真を貼り付けて個人番号カードの申請を行うことも可能だと言えます。
もちろん、意図的に別の人の顔写真で交付申請書を提出しても、役場で個人番号カードの受け取る際に、交付通知書(交付申請書を出すと後日郵送で届く)および顔写真付きの身分証明書が必要となるので、窓口で怪しまれし、おそらく発行してもらえないでしょう。
しかし、悪意を持って他の人間のマイナンバーを奪って使ってやろうと考えている人間がいて、何らかの方法で他人の交付申請書を手に入れたとしたらどうでしょうか。
例えば、士業や役所の職員を装った詐欺師が、あなたに「個人番号カードの交付申請を代理しますよ」みたいな感じで言い寄って交付申請書や通知カードを騙しとったとします。
その詐欺師は付申請書のQRコードからあなたの顔写真の代わりに自分の顔写真をアップロードしてしまい、そのまま通知カードを返すこともなくどこかに消えてしまうでしょう。(いや、本人に怪しまれないために偽造の通知カードを返すかも。あと、交付申請書に自分の顔写真を付けて送らないのは、それだと交付通知書が本人の住所に届くから)
結果どうなるか。詐欺師はこれにより、まんまと、通知カードと交付通知書、さらには偽造のパスポートか免許証を使って役場から「あなたのマイナンバーの入った」でも「顔写真は詐欺師」の個人番号カードを手に入れることができてしまうのです。
そんな、「あなたのマイナンバーの入った」でも「顔写真は詐欺師」の個人番号カードを使ってその詐欺師をなにをするのか、あなたにどんな被害があるか、想像するに恐ろしいと思いませんか?
マイナンバーの悪用を防ぐ第一歩
まあ、実際には上記の例の場合、本人が詐欺に気づいた時点でマイナンバーの変更が行われるでしょうから、それほど大きな問題にはならないと思いますが、なんにせよ、通知カードや交付申請書をそのままにしておくといつなくしたり盗まれたりするとも限らない。
となると、マイナンバーの悪用を防ぐ第一歩はさっさと個人番号カードの申請を済ませてしまう、ということだと思います。写真撮って申請書送るだけだし、しばらくは個人番号カードの発行も無料ですしね。「マイナンバーって何んだかよくわかんなくて怖い」からって、なにもしないまま放置するほうがよっぽど怖いですよ。