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朝日新聞の「意味不明な淫行容疑の記事」を勝手に校正してみた

18日深夜、Twitterで突如トレンドワードとなった「淫行容疑」。

てっきり、有名人の誰かが何かやらかしたのかと思ったらどうも理由は「書いてる記事の意味がわからない」ので話題になってるっぽい。

わたしも実際読んでみて、かなり数のはてなマークが頭に浮かびました。

そこで今回は、国語の先生でも何でもないわたしではありますが、僭越&勝手ながら、その記事の校正をしてみたいと思います。

まだ読んでない方は、まずは、以下のリンクから是非原文を。

「彼氏と違う人がいます」 高校生に淫行容疑で逮捕

頭の中がスパゲッティのようにこんがらがったとしても、それはあなただけではないのでご安心を。

 

第一段落からクライマックス

小学生のような文章でそれは始まる

では、早速、第一段落から校正していきます。ちなみに、校正方法は、わたしには新聞記事的な校正はわからないのであくまでわかりやすさ重視です。

実はこの記事、第一段落からクライマックスです。

というのも、第一段落の説明がキチンとしてないのがこの文章の意味不明の大きな原因だからです。

以下が第一段落の内容。

三重県警は17日、チャットアプリで知り合った大分県の少女とみだらな行為をしたとして、松阪市の派遣社員の男(26)を県青少年健全育成条例違反(淫行)の疑いで逮捕し、発表した。男は別の人物の顔写真を使って他人になりすまし、少女と会う際には友達を装っていた。

「彼氏と違う人がいます」 高校生に淫行容疑で逮捕(朝日新聞DIGITAL)

まず、小さなことですが「逮捕し、発表した。」という文章が、なんというか小学生。こういうことがありました、ああいうことがありました、って、とにかくつなげてる感じ。

ここは「逮捕したことを発表した」でいいでしょ。というか、もっとシンプルに「逮捕した」でいいし。

 

なりすました「他人」と「友達」の関係性がイミフ

で、その次の文章で「男は別の人物の顔写真を使って他人になりすまし、少女と会う際には友達を装っていた。」とありますが、これがこの記事を意味不明にしている最大の原因。

この犯人がなりすましてる「他人」と、その後、唐突に出てくる「友達」の関係性がさっぱりわからないからです。

文章を何度も読んで矛盾なく理解しようとすると、これはおそらく、アプリのときは別人の顔写真で「他人」になりすまし実際に少女と会うときはその「他人の友達」になりすましてた、ということでしょう。

だったら、

男は別の人物の顔写真を使って他人になりすまし、少女と会う際にはなりすました人物の友達を装っていた。

と入れておけばここまで読む人を混乱させることはなかったのではないでしょうか。

というか、そもそもチャットアプリがどうとか、男が他人になりすましてたとかは、第三段落と最終段落で説明するんだから一段落目は「淫行容疑で逮捕した」と簡単にまとめていい気がする。

 

日本語がおかしな第二段落目

で、第二段落目。

 松阪署によると、男は11日午前0時ごろ、自宅アパートで、大分県の高校3年の少女(17)が18歳未満なのを知りながら、みだらな行為をした疑いがある。「間違いありません」と容疑を認めているという。

「彼氏と違う人がいます」 高校生に淫行容疑で逮捕(朝日新聞DIGITAL)

ここは単純に日本語が変。

「松坂署によると」と伝聞の形で始めておきながら、「疑いがある」で区切るって違和感バリバリ。

他の新聞記事にならいつつ、本文をなるべく活かすならこんな感じじゃないでしょうか。

松坂署によると、容疑は、11日午前0時ごろ、自宅アパートで、大分県の高校3年の少女(17)が18歳未満なのを知りながら、みだらな行為をした疑い。男は「間違いありません」と容疑を認めているという。

ていうか、「松坂署によると」っているのかな? 第一段落で「三重県警松坂署」ってしておけば済む話の気もする。

 

()を使って逆にわかりづらくなった第三段落目

()を使うと文章は基本わかりやすくなるはずだが…

その次、第三段落目。

2人は7月にチャットアプリを通じて知り合い、その後、別のメッセージアプリで連絡を取り合った。少女が「会ってほしい」と伝えると、男は「(自分の)友達のところに行って」と自宅アパートの住所を返答。今月10日、少女はバスや電車を乗り継いで伝えられた場所に向かい、一緒に過ごしたという。

「彼氏と違う人がいます」 高校生に淫行容疑で逮捕(朝日新聞DIGITAL)

これは()内が意味不明の原因を作ってますね。

普通()使うと文章ってわかりやすくなるものなのですが。

第一段落でも説明したとおり、犯人の男はメッセージアプリ上では「自分ではない別の男」になりすましてるわけですが、ここで()内に「自分の」って入れると「誰にもなりすましてない自分の」と読めてしまって、もう何が何だか分からない。

なので、ここは()内に「自分がなりすました男の」とか入れないとわかりづらいでしょう。

ちょっと長くなるので文字数制限に引っかかりそうな気もしますが、わかりやすさには変えられない。

ていうか、少女がバスや電車を乗り継いだって部分いる? って感じで、文字数オーバーならこの部分削れって話だし。

 

()内の影響はその後の文章にも

あと、その後に続く「自宅アパートの住所を返答」も結構わかりづらい。

普通に読むと、()の「自分の」と「自宅アパート」と「自分」「自宅」と出てくるのに「友達のところ」って何よ? となります。

これも前後の文章から判断するに、「なりすました別の男の友達の家に行って」と少女には言いつつも、少女に伝えた住所は犯人の自宅アパートだったということのはず。

よって、直すとしたら以下のような感じでしょうか。

少女が「会ってほしい」と伝えると、男は「(自分がなりすました男の)友達のところに行って」と返答。その際、少女に伝えた住所は男の自宅アパートだった。

 

文章におかしな点は見当たらないが「意味がわからない」最終段落

で、最終段落の第四段落は結構な大どんでん返し。

ところが、5日後に部屋で見つけた郵便物は少女が連絡を取り合っていた男の名前だった。ただ、画像で知っていた顔と違うため不審に思い、「彼氏と思っている人と違う人がいます」と110番通報したという。少女は家族に「友達の家に行く」と言って外出したという。

「彼氏と違う人がいます」 高校生に淫行容疑で逮捕(朝日新聞DIGITAL)

これまでの話をまとめると、犯人はアプリ上で別人になりすまし、少女に会うときはその別人の友達になりすまし、その上で、自宅に少女を呼んだわけですよ。

少女の目線から言うと、犯人の自宅で会った犯人というのは「アプリで知り合った男の友達」です。

で、この犯人は淫行容疑で捕まっている

・・・、どうしてこの少女は「アプリで知り合った男の友達」とヤッちゃってるんでしょうね?????

いや、理由はどうあれ、この少女は被害者ですよ。そこを批判する気はありません。

でも、「彼氏と思っている人と違う人」となんやかんやでヤッちゃってるって、30超えたおじちゃんにはもうよくわかりません。

最終段落に限っては文章がおかしいということはないけれど、なんというかこの少女の行動が常識的には理解しづらいというのが、この文章をさらにわかりづらくしているみたいです。

 

「起きた事件」と「それを書く記者」の組み合わせが起こした悲劇

最後に、これを書いた記者及び校正をしたデスクの方を一応フォローをしておくと、この淫行容疑の男がそもそも結構ややこしいことをしていたし、被害者の行動にも常識的にはちょっと想像しにくい点があったようです。

でも、そうは言ってもわかり易い文章という点で見過ごせない部分も多いのも確かで、なんというか起きた事件とそれを書く記者の組み合わせが悪かったのでしょう。

第二段落、第三段落、最終段落すべてで文章の最後が「という」となってるのも、なんだかなあ、って感じだし。

 

以上です。

あまりの衝撃に珍しく深夜の更新ですが、「鉄は熱いうちに打て」の精神でやってみました。

わたしの日本語のほうが怪しいというご意見がございましたら、どうぞ遠慮なくTwitter等で言っていただければと思います。

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  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士川嶋事務所の代表。「いい会社」を作るためのコンサルティングファーム「TNC」のメンバー。行動経済学会(幽霊)会員 社労士だった叔父の病気を機に猛勉強して社労士に。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 3冊の著書のほか「ビジネスガイド」「企業実務」などメディアでの執筆実績多数。

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