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労務管理 労務管理と行動経済学

マイナンバーロードマップの「計画の錯誤」(労務管理と行動経済学)

2016/04/20

新国立競技場のあまりの杜撰な計画の見通しに批判が集まっていますね。

しかし、行動経済学で考えるとそもそも計画が計画通りに行くかというとかなり怪しい。

少なくとも、行動経済学に「計画の錯誤」という言葉があるくらいには。

楽観バイアス

人間というのは大抵の場合、自分が思っている以上に楽観的で自信過剰です。

企業の生存率は5年で15%ほどだそうですが、飲食やフランチャイズも含めそれでも起業する人というのは跡を絶ちません(日本では減少傾向のようですが)。歩きスマホや自転車スマホには明らかなリスクが存在しますが、それでも自分が車に引かれたり、線路に落ちたりはしないだろうと思っています。

こうした「自分だけは大丈夫」という認識は「楽観バイアス」と呼ばれています。

先に述べた「計画の錯誤」もこの楽観バイアスの1種で、計画を立てるとき、人間というのは非常に楽観的な計画を立ててしまいがちだということです。

こうした罠にハマらないためにも、どのような計画を立てるにしても、上手く行かなくなったときに柔軟に対応できるようにしておく必要があるわけです。

マイナンバーの「計画の錯誤」

さて、実は第二の新国立になりそうな計画が先日、官邸の政策会議で出されています。

それはマイナンバーのロードマップ(リンク先pdf)。

詳しい内容はリンク先を見てもらいたいのですが、東京オリンピックが開催される2020年までに、身分証明証としての機能すべてをマイナンバーに集約すると同時に、通信や興行、金融といった身分証明が必須とされる民間事業でもマイナンバーを使おうという計画のようです。

税や社会保障に関しては現在のマイナンバー法ですでにフォローされており、法律施行後にマイナンバーが活用されることは疑いの余地はありません。

一方、今回のロードマップに記載されているクレジットカードや民間のポイントカードの統合、入学試験・資格試験の受験票としての使用、あるいは興行チケットの代わりといった民間での使用については現在の法律にはまったく記載がありません。よって、法改正が行われない限り、このロードマップに記載されている民間活用は絵に描いた餅に過ぎません。

付け加えておくと、今国会で通る予定だったマイナンバーと銀行口座のヒモ付は、例の年金機構の情報漏洩問題もあり流れています。

また、マイナンバーを取り扱う地方自治体の電子システムの問題もあります。コスト面もそうですが、日本全国の役所や省庁のシステムが必ずしも統一されたものを使うわけではない中で、それらの役所をネットワークでつなげてしまうのですから、例えば、機種依存文字の取扱いなど混乱が予想されます。

2020年に解禁予定とされているネット選挙については、このロードマップを作成した人間のレベルの低さ・見通しの甘さが明らかすぎて呆れてしまいます。

ネット選挙、正確に言えば国政選挙のネット投票を行うには法改正が必要なのは民間のマイナンバー活用と変わりません。

しかし、それ以上に問題となるのは、犯罪者リストを電子化する必要がある点です。なぜなら、執行猶予中であったり仮釈放されている受刑者といった選挙権が停止される人たちを電子的に把握しておき、あらかじめ排除できるようにしておかないと、そういう人たちでもネットからなら選挙に参加できてしまう可能性があるからです。

しかし、こうした犯罪者リストであったり、前科の履歴というのは非常にセンシティブな情報です。漏洩の際のダメージは、今回の年金機構のレベルではないでしょう。よって、そもそもこうしたリストを電子化できるのか、という問題があるわけです。

このように様々な問題のある計画があと5年で本当に実現可能なのでしょうか。

個人的には、今問題になっている新国立の計画同様、理想と現実を線引する能力が欠如した人間の書いた、かなり楽観的に計画に思えます。
 

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名古屋の社労士事務所、川嶋事務所の代表で、このブログの筆者。 新しいこと、もの、特にIT関連が大好きで、社労士としては会社・労働者のITトラブル対策・就業規則作成が得意分野。 2016年4月から9月まで中日新聞で「働く人を守る労働保険」を連載、開業社労士専門誌「SR」に寄稿するなど、メディアでの執筆活動も。