内閣府の調査で、男性と比較して女性のほうが「昇進したい」という意識が低いという結果が出ました。
「昇進したい」女性25%=男性と差、条件次第で上昇も-内閣府調査
解説にもある通り、女性が昇進したいと思うには社会や会社内の制度の不備も見逃せませんが、その一方で、実は男と女では競争に対する意識が異なるという研究結果もあります。
例えば、小学生に50メートル走をさせた場合、1人づつ走らせるのと2人ペア(競争とは言わなかった)で並んで走らせるのとを比べると、男子は2人ペアで走らせたほうがタイムが良かった一方、女子の方はどちらもあまり変わらなかったそうです。
また、労働者に報酬体系を選ばせると、男性はより競争的な報酬体系を選ぶ一方、女性は固定給に近い報酬体系を選ぶことが多いそうです。
つまり、男性の方が競争をより好む一方、女性はそうでもないわけです。
こうした競争への意識の差が「昇進」に対する意識の差につながっていることは間違いありません。
ただし、これが生まれつきの性差なのかといえば必ずしもそうではなく、文化的な背景がより大きいようです。父系社会であるアフリカのマサイ族は、男性の方がより競争を好み、母系社会であるインドのカーシー族は、女性のほうがより競争を好んだという実験結果が出ています。
また、女子校のような女性ばかりのグループの中にいる場合は、女性も男性と変わらない競争意識を見せるようです。
文化に根付く難しい問題ですので、簡単に解決する方法はなかなか無いかもしれませんが、少なくとも、こうした調査の結果に対して「女は出世欲がない。だから女性管理職が少ないのは仕方がない」という態度だけは絶対に間違っていると認識したほうがよいでしょう。
出世競争に積極的に参加するあまり能力の高くない男性よりも、そうした競争にはあまり参加しないものの能力のある女性に活躍の場を与えたほうが、企業としては利益があるのは間違いありません。