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労務管理 労務管理と行動経済学

保険の営業マンに見るインセンティブの効果(労務管理と行動経済学)

2016/04/20

以前の記事でお話した前払いインセンティブですが、生保等の営業職に多い「ノルマ未達ならクビ」みたいな契約も 前払いインセンティブの一種と言えます。

要するに、保険会社は先に労働者の地位を与え、それを失いたくないのなら、という相手の気持ちに訴え契約を取らせに行かせるわけです。

厳密に言えば、そうした職業の場合、保障給と歩合給の組み合わせのところが多いので、ノルマ以上の契約を結べばそれだけ給与も増えるという後払いインセンティブも含まれています。ただ、そのために頑張っている保険の営業マンというのをわたしは見たことがなく、大抵はノルマが達成できるかどうかの話ばかりしていて、なんやかんやでそれを達成します。彼らを見るだけで、いかに後払いよりも前払いのインセンティブの影響力が大きいかわかるというものです。

さらに言うと、実は保険会社の営業マンには他にも前払いインセンティブが支払われています。

というのも、先程も触れたように彼らの賃金は基本的に保障給(固定)と歩合給(変動)が組み合わせなのですが、入社直後は保障給の割合が大きいものの、勤続期間が長くなると歩合給の割合がどんどん大きくなるからです。

つまり、入社直後の給与の割合が、保障給が20万円で歩合給の平均が10万円だとすると、この人の手取りは30万円になります。そして、労働者からするとこの30万円がこの仕事の給与に対する基準になります。しかし、勤続期間が長くなると歩合の割合が増えるので、より多く契約を勝ち取らないと、この基準を維持できなくなります。

前払いインセンティブの本質は、人間の持つ損失回避性を刺激することですから、その点で、自分が(ほぼ自動的に)定めた基準より給与が下がるのが嫌、という気持ちを刺激し、契約を取らせに行かせるこうした賃金形態は理にかなっています。

しかし、理にはかなっていても、保険会社の営業マンたちの離職率の高さを見る限り、強すぎる前払いインセンティブ(解雇および賃金減少)の負の効果を「普通」の会社は見逃すべきではないでしょう。

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名古屋の社労士事務所、川嶋事務所の代表で、このブログの筆者。 新しいこと、もの、特にIT関連が大好きで、社労士としては会社・労働者のITトラブル対策・就業規則作成が得意分野。 2016年4月から9月まで中日新聞で「働く人を守る労働保険」を連載、開業社労士専門誌「SR」に寄稿するなど、メディアでの執筆活動も。