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マイナンバー 時事問題

個人事業主のマイナンバーは買うことができる

2016/04/20

社会保険労務士の手続業務を根こそぎ奪っていくのでは、と言われているマイナンバー。社労士にかぎらず、個人情報の保護に絡めていまだにこの制度に文句言ってる人たちが多くいますが、ただ、そうは言っても制度導入はすでに待ったなしの状態。通知カードが今年の10月以降に送られてくる以上、受け入れるところは受け入れていかないといけません。

で、実は社労士にかぎらず会社ではなく個人で事業を行う人からすると、このマイナンバーが自分の事業を行う上での思わぬハードルになるかもしれません。と言うのも、個人で事業を行っている人には馴染み深い「支払調書」というものがありますよね。会社勤めの人にわかりやすく言うと個人事業主はにとっての源泉徴収票みたいなもので、仕事をもらった先、つまり、報酬支払い先から発行されます。個人事業主には発行しない会社もありますが、その場合も税務署への提出義務はあります。

実はマイナンバー制度が始まると、この支払調書にお金をもらう側である個人事業主のマイナンバーを記入する必要がでてきます。つまり、個人事業主は自分のマイナンバーを自分のお客さんに提供しないといけないわけです。

これが会社勤めなら、自分の会社にマイナンバーを提供するだけで済みます。しかし、個人事業主だと報酬をもらう先がいくつもあるのが普通で、それだけマイナンバーを提供する先が増え、相手の事務委託先等にも拡散してしまうわけです。

わたし個人のことを言わせてもらえば、わたしは自分の顧問先については信用しているし、付き合いが長い所も多いので情報が漏れるということについて心配はしていません。それに仮にもわたしは自分が社労士なので、顧問先の就業規則を改定したり、マイナンバー取扱いの安全規定を作成することで、ある程度自分のマイナンバーを自分で守ることができます。

しかし、それ以外の業種の個人事業主の場合、相手が大手だったりで、マイナンバーの規定をきちんと作っているようなところならともかく、就業規則もなければ仕事の際に契約書もろくに作ってこないような相手に、いくら報酬のためとはいえ、そうホイホイと自分のマイナンバーを提供できるかというと、抵抗がある人も多いのではないでしょうか。また、これとは逆にそういう自分のマイナンバーを提供するには不安のある相手にも、お金のために自分のマイナンバーを提供しないといけない、という場面もあるはずです。

もっと言えば、相手が個人事業主なら、悪意あるものは、仕事を与えるという名目や支払調書を作成するという名目で個人事業主のマイナンバーを簡単に集めることができる。より刺激的な表現をするならマイナンバーを堂々と「買う」ことができるわけです。

これが法人なら、一般公開される法人番号で支払い等の書類は作成可能なのですが、いかんせん個人事業主は個人番号の方を使わざるをえません。せめて、法人番号のような個人事業主番号みたいなものがあればなあ・・・、とも思うんですが(個人事業主税だってあるんだし)。

川嶋英明(社会保険労務士)

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名古屋の社労士事務所、川嶋事務所の代表で、このブログの筆者。 新しいこと、もの、特にIT関連が大好きで、社労士としては会社・労働者のITトラブル対策・就業規則作成が得意分野。 2016年4月から9月まで中日新聞で「働く人を守る労働保険」を連載、開業社労士専門誌「SR」に寄稿するなど、メディアでの執筆活動も。