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社会保険

「所定労働時間」から考えて、ダブルワークでの社会保険への二重加入は本当にあり得るのか

訳あってブログの更新が滞っておりますが、少し気になったことがあったので今日は更新。

去年10月に短時間労働者の社会保険加入範囲が拡大されました。

ざっくり言うと、大企業の場合、賃金要件その他諸々を満たした上で週の所定労働時間が20時間以上の場合、社会保険に加入できるようになりました。

健康保険法

第三条  この法律において「被保険者」とは、適用事業所に使用される者及び任意継続被保険者をいう。ただし、次の各号のいずれかに該当する者は、日雇特例被保険者となる場合を除き、被保険者となることができない。

(略)

九  事業所に使用される者であって、その一週間の所定労働時間が同一の事業所に使用される短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律 (平成五年法律第七十六号)第二条 に規定する通常の労働者(以下この号において「通常の労働者」という。)の一週間の所定労働時間の四分の三未満である同条 に規定する短時間労働者(以下この号において「短時間労働者」という。)又はその一月間の所定労働日数が同一の事業所に使用される通常の労働者の一月間の所定労働日数の四分の三未満である短時間労働者に該当し、かつ、イからニまでのいずれかの要件に該当するもの
イ 一週間の所定労働時間が二十時間未満であること。

(略)

一方、中小企業の場合は今まで通り「通常の労働者の所定労働時間の4分の3以上」なら加入できる、というふうになっていますが、去年の9月までと違って法律でそのことがきちんと謳われるようになりました。

健康保険法

第四十六条  当分の間、特定適用事業所以外の適用事業所(健康保険法第三条第三項に規定する適用事業所をいい、国又は地方公共団体の当該適用事業所を除く。以下この条において同じ。)に使用される第一号又は第二号に掲げる者であって第二十五条の規定による改正後の同法第三条第一項各号のいずれにも該当しないもの(前条の規定により第二十五条の規定による改正後の同法第三条第一項(第九号に係る部分に限る。)の規定が適用されない者を除く。以下この条において「特定四分の三未満短時間労働者」という。)については、同項の規定にかかわらず、健康保険の被保険者としない。

 その一週間の所定労働時間が同一の事業所に使用される通常の労働者の一週間の所定労働時間の四分の三未満である短時間労働者
 その一月間の所定労働日数が同一の事業所に使用される通常の労働者の一月間の所定労働日数の四分の三未満である短時間労働者

 

 

副業先の労働時間は時間外労働では?

気になることと言うのは、上記の条件いずれの場合も見る労働時間が「所定労働時間」であるという点です。

一カ所のところで働く場合にはこれはあまり気にする必要はないのですが、例えば2カ所以上の場所で働く場合。

例えば、本業で1日8時間週40時間という「法定労働時間=所定労働時間」のAという会社で働いた上で、副業として特定適用事業所のBという会社で週20時間以上働いた場合(※)。

この場合、単独であるならAでもBでも当然、社会保険加入の条件を満たします。

しかし、ダブルワークとして同じ週にAとBで働くと、Bの20時間というのは労働基準法上は法定外時間労働ということになります(テーマと外れるので細かく説明しませんが、この20時間には時間外手当が付きます)。

所定労働時間は法定労働時間の枠内に収める必要があると考えると、Bの労働時間は所定労働時間とはいえず「週の所定労働時間20時間以上」という条件を満たさないのでは、と考えたわけです。

 

※ 月額8万8千円などその他の条件も全て満たすと考える

 

年金機構の考えはどっちも所定労働時間

このことを最寄りの年金事務所に確認したところ「結論はAでもBでも社会保険加入となる」とのことでした。

いわく、年金事務所ではA・Bそれぞれで結ばれる労働契約等の時間を「所定労働時間」と考えるからで、上記の例ではそれぞれ「所定労働時間」を超えているから、とのこと。

これは、Bがその労働者の労働を法定労働時間外と認めて時間外手当を支払っている場合も同様とのことでした。

 

今日のあとがき

上記の内容は法解釈の問題ですが、個人的にはかなり納得のいかない解釈を年金機構はしているな、という印象です。

時間外手当も標準報酬月額に含めるから、というように無理矢理解釈することもできますが、社会保険の加入要件を満たすか否かの判断は各事業所単位で行うとされてますし。

 

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名古屋の社労士事務所、川嶋事務所の代表で、このブログの筆者。 新しいこと、もの、特にIT関連が大好きで、社労士としては会社・労働者のITトラブル対策・就業規則作成が得意分野。 2016年4月から9月まで中日新聞で「働く人を守る労働保険」を連載、開業社労士専門誌「SR」に寄稿するなど、メディアでの執筆活動も。