昨日の記事と関連して細かい話を1つ。
休憩時間を除き、1週間あたり40時間を超えて労働させた時間が100時間を超える労働者が申し出た場合、会社(事業者)は医師による面接指導を受けさせないといけません。
上の一文、昨日の記事からほぼ丸コピですが、この「休憩時間を除き、1週間あたり40時間を超えて労働させた時間が一月あたり100時間を超える労働者」という言い方、非常にまどろっこしいと思いませんか?
これだったら、単に「一月の残業100時間」と書けば済む話のように思えます。
しかし、そうはいかない理由があるのです。
なぜなら、この「休憩時間を除き、1週間あたり40時間を超えて労働させた時間」の中には、法定休日労働の時間分も含むから。
「休憩時間を除き、1週間あたり40時間を超え・・・」には法定休日労働の時間を含む
通常、法定休日労働の労働時間は、いわゆる残業時間である法定外労働時間とは区別されます。
その証拠に36協定の延長時間に法定休日労働の労働時間は含みません。
(その代わりといっては何ですが、法定休日労働の割増率は1.35倍となっています。)
しかし、医師の面接指導申出の基準となる「休憩時間を除き、1週間あたり40時間を超えて労働させた時間」に法定休日労働は含まれるため、例えば、所定労働時間8時間の会社で、ある労働者の残業時間が92時間あり、加えて法定休日労働も1日してました、という場合、その労働者は医師の面接指導を申し出ることができます。
「休憩時間を除き、1週間あたり40時間を超え・・・」は残業代をもらえない人も対象
また、そもそも管理職やみなし労働制の適用を受ける労働者のように、「残業時間」というものがそもそもない労働者もいます。
そうした労働者も法律上は、医師の面接指導の申出をすることは可能なわけですが、「月の残業時間100時間」としてしまうと、どうやっても条件を満たすことができないのでこのような書き方となっています。
もしかしたら、管理職やみなし労働制の適用を受ける労働者の労働時間を把握していない会社もあるかもしれませんが、そうした労働者でも労働時間を把握する義務が会社にはあります。
加えて、「休憩時間を除き、1週間あたり40時間を超えて労働させた時間が一月あたり100時間を超える労働者」についての情報を産業医に提供する義務が今年の6月より発生する予定なので、きちんと把握していないとそうした義務を果たせなくなるので注意が必要です。
ちなみに、一部業種では週の法定労働時間が44時間となっていますが、こうした業種についても「1週間あたり40時間」というのは変わりません。
今日のあとがき
さも昨日の記事の付け加えのように今回の記事を書きましたが、本当はこちらのニュースにインスパイアされたから。
朝日新聞で上司が記者の勤怠を改ざん 10人分、最大月56時間短く
あらあら「労働者の強い味方」朝日新聞さんが、お可愛いこと・・・。
冗談はさておき、今回の記事を読むと、上記のリンク先の記事の何が問題かがわかりやすいのではないでしょうか。
ちなみに「お可愛いこと・・・。」の元ネタはこのマンガ。