最近は行動経済学のことばかり書いていましたが、たまには最新の労務ニュースにも触れておきましょう。
現行の制度ではハローワークは「求人の申し込みはすべて受理しなければならない」となっているところを、ブラック企業の疑いのある企業の求人(新卒)は拒否できるように、新たな制度の導入をしようと新法の成立を狙っているようですが、なかなかに非常に楽しみな新法の成立になりそうです。
というのも、これは国が初めて「ブラック企業の定義」を定めることにほかならないからです。当たり前ですが、ブラック企業の定義や基準がはっきりしていなければ、ブラック企業の求人を拒否することなんてできません。
ハローワーク職員の裁量で求人申し込みにきた企業をブラック扱いして、「おい、ふざけるな」とブラック扱いされた企業が名誉毀損や権利の侵害等で訴えてきたら大変ですからね。そんなことになったらハローワークがこの制度を使うことに萎縮し、制度自体が形骸化するのは火を見るより明らかでしょう。
つーか、ブラックかどうかなんてどうやって調査するんでしょうかね? 監督署とでも連携するのか、ハローワーク職員に限定的にそうした権限を与えるのか。ハローワークの求人受付のコーナーって地域によっては毎日毎日かなりの数の求人を捌いているところもあるのに。あっ、だから今回は新卒求人に的を絞っているのか。
なんにせよ、今後、労働政策審議会でこの制度に関して詳細を詰めていくそうなので、その結果がたのしみですね。労働者側も使用者側も、そして世間も納得するような定義や基準になるといいですね。ならなきゃ、その三者のどこか、あるいは三者ともから叩かれることは目に見えてますがね。