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書評

【書評】ブロックチェーン・レボリューション

社労士が労働や社会保険に関する業務の手続き代行をできる理由は何でしょうか。

それだけの知識があるから、国家試験に合格したから、法律上そういうようになっているからとか、様々な答えが考えられますが、端的に言えば「信用」があるからです。

知識に関する「信用」を国家試験が担保し、法律に基づいた登録制度によってもその「信用」を担保する。

信用があるから、社労士は重要な手続きを代行できるし、雇用保険などの手続きで一部書類の添付を免除されるわけです。

こうした「誰かが誰かの信用を担保する」という構造は世の中にはフラクタルに存在しています。

医師や弁護士などの資格などの仕事に関わる資格はもちろんそうだし、自動車の免許はその人が自動車に乗るだけの資格があることを免許証が担保する。

賃貸住宅を借りたり借金をするのに必要な保証人にしたってそう。

わたしたちは、常に誰かに自分の信用を担保してもらっていると言えます。

 

ブロックチェーン・レボリューション

なぜこのようなことを書き出したかというとこちらの本を読んだから。


ブロックチェーンとは、仮想通貨として有名なビットコインに利用されている技術のこと。

ブロックチェーンがどういうものか知りたい方は、こちらのスライドが簡単でわかりやすいです。

 

ビットコインよりブロックチェーン

ブロックチェーンの画期的な点は「取引履歴」そのものが「信用」となる点です。

なぜならブロックチェーン上のデータは改ざんがとても難しいから。改ざんしようと思うとほとんど全てのブロックを改ざんしないといけないうえ、当然、一つ一つのブロックは暗号化されているので、改ざんにとても時間がかかり、時間がかかっているうちにまた新たなブロックが生まれてしまいます。

よって、ビットコインなどのブロックチェーンを使った仮想通貨では、もらったり手に入れたりしたビットコインが不正に作成された偽物であるという心配をする必要はなくなります。

なぜなら、そのビットコインのデータから過去の取引をたどることができるため。

過去のデータをたどって、そのビットコインがいつどこで生まれどのように取引されたかがわかれば、それを偽ビットコインと疑う理由はないでしょう。

(偽物の疑いがなかったとしても、そこに価値を感じるか、すなわち現実の通貨を仮想通貨に変えるかどうかなどは、人間の心理や文化的な問題もあるので議論しない。)

 

第三者による信用保証にはコストがかかる

さて、ブロックチェーンと「誰かが誰かの信用を担保する」という話がどう関係あるのか。

そもそも、「誰かが誰かの信用を担保する」という行程は第三者が介入する分、時間的なロス、コストロスが発生します。

とはいえ、何の信用も保証もないまま不動産を貸したり、人を雇ったり、サービスをお願いしたりというのはできないため、必要コストとして現状は第三者が信用を担保する方法が取られています。

また、社労士の手続き業務なんかは、あまり手続きに詳しくない会社の人が行うよりも時間的なロス、コストロスが少ないから存在し得ているだけです。

 

ブロックチェーンが生む「信用」

ビットコインではなくブロックチェーンが注目される理由は、「取引そのもの」によって作成される「信用」に大きな可能性があると考えられているからです。

「誰かが誰かの信用を担保する」というように第三者が介入しない分、取引は素早く行われ、仲介手数料などのコストも発生せず、オープンなので安全性も高い。

例えば、AirbnbやUberなどのようなサービスは、現状、会社が間に入って信用を確保しているので、家主やドライバーはは会社に手数料を支払う必要があるし、その分、料金も高くなる。

もちろん、これらは安全な家主やドライバーを探すためであり、家主やドライバーからすると自分たちが信用のおける人間であることを示すためのものではありますが、ブロックチェーンならそもそも、会社による信用は不要となる可能性が高い。

なぜなら、家主やドライバーの取引情報はすべてブロックチェーンに記録されていて、それを見れば信用できるかどうかすぐにわかるから。

信用の話でもう一つ付け加えると、スマートコントラクトと呼ばれるブロックチェーンを利用した契約書を使えば改ざんは不可能となります。

そして、契約の履行とスマートコントラクトを連動させれば、契約の履行とともにその分のお金を支払う、というようなことも可能です。

 

ブロックチェーンが変える未来に焦点を絞った本

とはいえ、ブロックチェーンは完全な信用を創造できるわけではなく、実際にはブロックチェーンを支配する者、というのは現れる可能性があります。

事実、ビットコインは中国の影響からは逃れられそうにありません。

 

それでも、そのブロックチェーンが信用に足るかどうかは外部の人間が判断できるだけ、既存のシステムよりもマシでしょう。

冒頭で紹介した「ブロックチェーン・レボリューション ――ビットコインを支える技術はどのようにビジネスと経済、そして世界を変えるのか」では、ブロックチェーンの技術的な話や問題点にはあまり焦点を当てず、楽観的な未来について多く割かれています。

むしろ「ブロックチェーンを使えばこうなる」「ブロックチェーンを使えばこうなる」みたいな話が大半なので、ブロックチェーンについて一から十まできちんと知りたい人は不満かもしれませんが、ブロックチェーンについてざっと触れて未来を覗いてみたい人にはオススメです。

 

今日のあとがき

ブロックチェーンが信用の基盤になって、国や他人による信用の保証よりも重要になったら社労士は・・・みたいなことを書こうと思っていて、最後はそれでまとめようと思っていたのですが、ブロックチェーンの日本での普及よりは確実にマイナンバーの足の方が早いなあ、と思ったら、なんか変えたくなってやめました。

いずれにせよ、「誰かが誰かの信用を担保する」の信用を担保することでお金をもらってる人、というのはブロックチェーンにいずれは取って代わられるのではないでしょうか。

とはいえ、ブロックチェーンについてはわたしもまだ知識がふわふわなので、他の本も読む予定でいますが。

 

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名古屋の社労士事務所、川嶋事務所の代表で、このブログの筆者。 新しいこと、もの、特にIT関連が大好きで、社労士としては会社・労働者のITトラブル対策・就業規則作成が得意分野。 2016年4月から9月まで中日新聞で「働く人を守る労働保険」を連載、開業社労士専門誌「SR」に寄稿するなど、メディアでの執筆活動も。